『西園寺さんは家事をしない』松村北斗が流した温かい涙 太田莉菜がクールな役どころ好演
“偽家族+仮彼氏”から“偽家族+本彼氏”に切り替わった『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)第8話。西園寺一妃(松本若菜)はカズト横井(津田健次郎)に“本彼氏”への切り替えを申し出る。「本当は少し好きだったよ」という西園寺さんの言葉が忘れられない楠見俊直(松村北斗/SixTONES)はモヤモヤが止まらない。 【写真】数式を解く楠見(松村北斗)を見守るエリサ(太田莉菜) さらに、橘エリサ(太田莉菜)からは、自分のコンサル先の世界的有名企業のエンジニア職に空きがあり、楠見にどうかというヘッドハンティングの声がけも入る。さらにやけに楠見と2人きりになりたがるエリサの様子に、今度は西園寺さんがモヤモヤを抱える。 最初に“家族”になることから入った西園寺さんと楠見にとって、それぞれに予期せぬ第三者の介入があり、ようやく自身の本音を自覚し意識し始める。 エリサが楠見と2人きりになりたがった本当の理由は、亡き妻・瑠衣(松井愛莉)から託された数式を約束通り彼女が亡くなってから1年後に彼に渡すことだった。楠見と瑠衣にとって数式は2人を繋ぎ合わせた共通点で、その面白さを「先へ先へ進むしかなくここは通過地点に過ぎない」ことを教えてくれるというように言い合っていた。 数式を解いた楠見は「先に進めるし、先に進むしかない」ことをまざまざと教えられ、その瑠衣の優しさと憎さに、嬉しくもあり悲しくもあり胸がいっぱいになる。そんな綺麗にはまとまっていない剥き出しの感情を、楠見は西園寺さんに聞いてほしい、話したいと思ったと涙ながらに伝えた。その気持ちの動きに、誰より楠見自身が驚き動揺しているようだった。 瑠衣がこの数式を亡くなった1年後に楠見に見せてほしいと要望したのは、せめて1年間は忘れられたくないという想いからだったことも知る。瑠衣からの思わぬギフトを受け取って、その過程でかつて彼女と交わした言葉を思い出しながら、瑠衣がいない時間も現在地もその圧倒的不在も「通過地点でしかない」というメッセージを受け取るという皮肉も、なんだか切ない。彼が数式を解く中で自分のことを忘れていくことも、思い出さない日が増えていくことも許し、背中を押した瑠衣の大きな愛情に楠見同様、心射抜かれてしまった。楠見役の松村北斗は、湧き出てくる相反する感情に対して自分で混乱しながらも、どの感情も見逃さず大切に受け止めたいという温かい涙を流していた。 さて、エリサ役を演じる太田莉菜は、今クールドラマでは『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)に弁護士役として出演しており、本作同様クールながら主人公に手を差し伸べる役どころを担っている。かと思いきや、『来世ではちゃんとします』シリーズ(テレビ東京系)では、恋愛への興味はないアセクシャル役をとても自然に見せてくれていた。 互いの気持ちを確認し合った西園寺さんと楠見だが、こうなってくると“本彼氏”に切り替わったばかりの横井はどうなってしまうのか。そして“偽家族”はまた新たな形態を迎えるのだろうか。楠見がアメリカ企業に転職してしまうのかも含め、彼らの今後が気になる。
佳香(かこ)