新世界「人力車の翔ちゃん」ディープな大阪を案内したい
毎朝自主的に清掃活動・地元住民らも応援
新世界のど真ん中を人力車で駆けているため、まだ5月ながら、翔ちゃんはしっかり日焼けしている。「今年は暑かったり寒かったりけっこうキツイ時もありますね。けど、楽しいから続けてるんですわ」
ゴールデンウイークも、多くの観光客を相手に陽気な翔ちゃんが声をかける。周辺は坂道も多いが、ふんばって駆け抜けてしゃべり続ける姿に、地元の人たちが応援する姿もよく見られる。 「毎日曳いてるんで、このあたりでお店をしておられる方、散歩してるおっちゃん、おばちゃんが『頑張ってや~』と声をかけてくれるんです。これはもう、自然な大阪の風景ですよね」 だが、住民らが応援している理由はそれだけではない。翔ちゃんは毎朝、ゴミ袋を片手に清掃活動を行っている。これは「新世界にきれいなイメージを持ってほしい」という思いから自主的に行っているという。住民らも「ほんまに感心する」と温かい目で見守り、自然と応援しているのが受けて取れる。 そんなオモロくて優しい男が曳く人力車。利用客も最初は「はずかしい」という思いがあるが、しゃべりを聞き、新世界の光景になれると5分もたてば自分から周囲に「手を振る」人も多いとか。「これが京都とかで営業する時と違う点かもしれませんね。この下町人情が残る場所での人力車は、全国的にもないかもしれませんね」 ガイドだけでなく、客の要望に応じて観光地との記念撮影も気軽にこなす。写真撮影の研修などもしっかり受けており、携帯電話のカメラで撮影するだけでも構図や色合いを考えながら撮影。こうした対応が口コミで広がり、客足は絶えないという。 そんな翔ちゃんに「これまで何人載せました?」と聞くと「ちゃんと数えてませんが、約1万人くらいはお乗せしたかもしれません。けど、この仕事ほんまにやりがいがあるんで」 地元・大阪の文化や良さを伝える仕事に生きがいを感じているという翔ちゃん。きょうも多くの観光客を相手に「まいどっ!」と気さくに声をかけ、人力車で駆け回っていることだろう。 営業時間は午前10時から午後5時半くらいまで。定休日はないが、雨の日は休みの可能性がある。詳しい問い合わせは、公式サイトまたは(080・5716・7089)まで。