新世界「人力車の翔ちゃん」ディープな大阪を案内したい
通天閣ガイドはおまかせ。新世界 人力車の翔ちゃんは人気者 THE PAGE大阪
「みなさんの知らないディープな大阪教えまっせ~」──。なにわのシンボル「通天閣」などがある大阪市浪速区の新世界。串カツにフグなどグルメ探しをしていると、いきなり「まいどっ」と丸メガネのお兄ちゃんが声をかけてきた。新世界人力車「俥天力(しゃてんりき)」の俥夫、國領翔太さん(29)は、ここ新世界で人力車で駆け回り3年。地元では「翔ちゃん」の愛称で知られており、ガイドブックに載ってないディープな大阪を案内するのが生きがいだという。元自衛隊員で体力勝負はお手のもの、持ち前の明るさで新世界にさわやかな風を吹かせている。そんな翔ちゃんの仕事ぶりに密着してみた。
元自衛隊員・ラグビー選手で鍛えた体生かしてまっせ
通天閣から南へ約200メートル。フグやビリケンの大きな看板がある場所で翔ちゃんは常に待機している。日焼けした丸メガネの兄ちゃんは、立っているだけで観光客から声をかけられることも多く、道案内なども行っている。 たくましい体型が印象的な翔ちゃんは大阪生まれ。ラグビーをずっとやっていて、推薦で京都府内の高校へ推薦入学し活躍。卒業後は自衛隊に入隊した。「京都府内の駐屯地で仕事をしていました。ほふく前進もできまっせ」 後に自衛隊を辞め、転職活動をしていたとき、手にした求人広告誌で「俥夫」の求人広告を見た。「これやっ」と思いすぐに応募。嵐山など京都府内の観光地で3年ほど勤務を経験したという。「高校のラグビーの練習は『嵐山まで走って帰ってこい』というものがあった。その時に俥夫の姿を見てかっこええなあと思ってたんです。求人誌を見て、すぐにピンと来ました」
来年は地元舞台の大河も。歴史ガイドもこなしてま
そして、ここ大阪・新世界で京都などと同じように人力車を営業することに。大阪出身の翔ちゃんにすぐに声がかかった。「大阪でやると聞いてちょっと燃えましたね。通天閣とかのこともすぐに勉強しました」 2012年に営業開始。その年は、通天閣と新世界が「100周年」という記念の年。観光客もたくさん来る中、土・日のみの営業だったが、多くの観光客が乗ってくれた。そして、翌年からは平日も営業することになった。「休みは雨の日とかで、だいたい毎日出ていますね」 人力車の乗車定員は2人。通天閣周辺をめぐる10分1000円(1人)のコースから、四天王寺など周辺の寺院や、なんばグランド花月、あべのハルカスなどの名所もめぐる30分コース3000円(1人)などを設けた。このあたりは寺院なども多く、案内すると「大阪の街の中にこういうものがあったんや~」という反応をもらうことが多いという。 ガイドブックに載っていない「ディープな大阪」を案内することが、こんなに楽しいことなのかと最近実感。「コースのいちばん最初に『50円』で売ってるジュースの自動販売機を紹介するんですが、これだけでほんまに喜んでもらえるんです」それに比例するかのように、最近では観光客だけでなく、大阪府内に住む人が通りすがりに乗る人も多いという。 また、最近では「大坂の陣400年」とか「真田幸村」という関係で縁の地へ行けるか聞いて来る人も多いとか。なるほど、来年はNHK大河ドラマ「真田丸」も放送されることから、今後はそうした路線の客層が増えることも予想される。