香港「巨大詐欺事件」詐欺師と捜査官の熾烈な戦い。トニー・レオンとアンディ・ラウが共演で話題
同シリーズではラウが“警察に潜入したマフィア”を、レオンが“マフィアに潜入した警察官”を演じてきたが、今回の『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』では立場が逆転。レオンが悪徳詐欺師、ラウが彼を追う捜査官となっているというところが面白いポイントだ。 全世界待望の共演作だが、そんなふたりの共演になぜ20年もかかったのだろうか。その問いかけについては、海外メディアのインタビューでラウが「適切な脚本を待っていたことが理由のひとつ。適切な脚本、適切な監督、適切な機会を待っていた。トニーとの共演は憧れだが、それは偶然の産物なんだ」と明かしていたが、まさに来るべき時が今だった、ということだったようだ。
また久しぶりのラウとの共演に「やはりこれだけ長くやっているとお互いに成熟した部分を感じる」とレオンが語れば、ラウも「昔と違ってキャラクターに深く入り込めている。お互いに深く入る術を得たという感触があった」と語るなど、それぞれに手応えを感じていたようだ。 そんなふたりの共演についてチョン監督も「ふたりは相性が抜群にいいんです。ふたりが共演する時は、ただ互いに見つめ合うだけで緊張感が走ります」と絶賛する。
■イギリスの植民地支配の終焉近づく香港 物語の舞台はイギリスによる植民地支配の終焉が近づいている香港。多額の借金を抱え、身ひとつで香港にやってきた野心家の男、チン・ヤッイン(トニー・レオン)は、悪質な違法取引を繰り返して徐々に香港に足場を築いていく。 そして80年代の株式市場ブームの波に乗ると、幾多もの会社を次々と創業し嘉文世紀グループを立ち上げる。インサイダーによる株価操作、闇取引、違法リベート、賄賂などあらゆる手段を尽くして資産100億ドル、市場価値200億ドルを超える国際企業へと急成長させていく。
飛ぶ鳥落とす勢いの彼にあやかろうと大勢の投資家たちが彼との取引を望むようになる。まさに時代の寵児となった彼は、我が世の春を謳歌していた。 だがくしくも時は1982年。英国のサッチャー首相が訪中し、鄧小平主席と香港返還について英中交渉を開始した結果、香港経済の将来への不安が市場に広がり株価は大暴落。そこから彼の歯車は少しずつ狂いはじめる――。 一方、汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、チンの陰謀に目をつけ、逮捕にこぎつけようと捜査を進めるも、巨額の資金力と、強力な弁護士を有するチンを捕らえるには至らず、苦渋の日々を過ごしていた。