キクラゲ栽培がスタート 旧富崎小の校舎活用 館山(千葉県)
館山市の旧富崎小学校の校舎を活用した、キクラゲの栽培が始まった。ビタミンファーム株式会社(水野聰代表取締役、本社・東京都港区)が手掛ける事業で、2教室を使って1カ月に約2トンの収穫を見込んでいる。20日に関係者に向けた説明会があり、森正一市長ら約20人が見学に訪れた。来年には全12教室での稼働を目指しており、無添加・無農薬の「館山産キクラゲ」の本格的な生産に乗り出す。 同校は2012年に休校し、17年に閉校した。跡地について、市では民間からの提案で有効活用し、地域活性化につなげようと民間事業者を公募。今年4月に同社との契約に至った。 同校西側にある旧幼稚園の2教室にビニールハウスの設備を整備し、7000個の菌床を配置。室温15~25度、湿度85~100%に維持し、3、4週間で発芽、5週間ほどで収穫が可能になるという。 水野代表によると栽培・収穫したキクラゲは、食用としての販売をする他、ビタミンDの抽出原料としても使う。キクラゲは植物の中でビタミンDの含有量が最も高いとされ、サプリメントなどで食物由来のビタミンDがほとんど流通していない現在では、世界で需要が高いという。 来年には全12教室で稼働させたい考えで、年間約140トンの生産を目指す。稼働の拡大に合わせて、地域の障害者福祉施設と農福連携も行っていく。 説明会で水野代表は、「館山産キクラゲとしてメーカーや市などと連携して積極的に商品開発、販売していきたい。また、地元の皆さんが体験、交流できる機会を多く作っていけたら」と展望を語った。 来年1月下旬には、「収穫祭」としてイベントを開催する予定で、試食や摘み取ったキクラゲの持ち帰りなどを計画している。 (安井咲子)