「与党過半数割れ」でハッキリと見えた!日本の政治家の「政策論」が深まらない理由…日本政治に巣食う「忖度」と「不勉強」のヤバすぎる病魔の正体
政治家の政策が深まらない…
歴史的大敗を喫した自民党の石破茂総裁だが、その理由は総裁選から一貫して綿密な政策が示されなかったからだろう。 【画像】石破自民の惨敗を予言していた「まさかの写真」 前編『自民惨敗は当たり前だった!「政治とカネ」も生煮え、持論の「日米地位協定見直し」も封印で選挙突入…結局「石破解散」とは何だったのか?』で見てきたように、石破首相は総裁選から主張してきた「日米地位協定の見直し」や「東アジア版NATO」の持論は、首相に就任すると早々にひっこめてしまった。 しかも、今回の総選挙が自民党の裏金問題の大逆風を受けることは最初から分かっていたはずなのに、国民には弥縫策しか提示しなかった。あげくに裏金非公認議員にまで選挙期間中に2000万円を配ったことを赤旗にスクープされ、とどめを刺された。 いったい、数か月を要した総裁選から総選挙までの政策議論とはなんだったのか。情けないことに、この国では政策議論というものが深まらないのだ。 前編につづき、それはなぜなのかを考えていこう。
政治家に「準備ができない」本当の理由
なぜ政治家は選挙の前に、事前に提案する政策について準備をしておかないのだろうか。その理由として、わたしは次の5つがあげられると思う。 第1に、準備の時間がない 第2は、森羅万象について用意しておくことはできない 第3は、問題を指摘しても総裁を目指す議員が考えてくれない 第4は、専門家や役人が本当のことを言わない 第5は、尖った提案が十分に議論されない まず、第1の「時間がない」や第2の「森羅万象について回答を用意することはできない」というのは、あまり深刻に考えなくても、「常識」さえあればクリアできる。 議員は選挙対策や調整に忙殺されて、政策立案にかける時間が少ないという問題は確かにあるだろう。ただし、派閥の議員は毎週昼飯を食っている。それ以外にも、仲間になってくれる議員とはしょっちゅう会っている。本来、議員は常識に関する知性は高い人たちである。常識で反論が思いつくようなことは、仲間の飲み会でも議論できるだろう。そこで決着できないことについて、専門家を呼んだ勉強会をすれば良い。 そもそも「森羅万象」について考えずとも、首相候補が答えなければならない国の政策は20に満たないのではないか。 憲法改正、日米同盟、対中関係、ウクライナ情勢、中東情勢、経済政策(金融緩和をどうするか、財政規律をどれだけ重視するか、現在では円安にどう対応するか。物価高対策をどうするか)、社会保障改革、少子・子育て政策、所得再分配政策(金融所得課税もここに入る)、都市と地方の格差(地方創生)、規制改革、夫婦別姓、女系天皇、北朝鮮拉致問題ぐらいだろう(これで17ある)。 石破首相は、よく、「議論しなければならない」という。たしかに、すべての問題について明確な答えをもっている必要はない。夫婦別姓や女系天皇は「国民の意見も様々であることから議論しなければならない」ですむ。社会保障も、利害関係が複雑で難しすぎるから、「議論しなければならない」ということで良いだろう。もちろん、明確な信念があるなら、それを答えれば良い。また、詳細な議論でなく、一般論ですむ話題も多い。 であるから自分は「これをやりたい」という政策くらいは、しっかりと詰めておいてほしいものだ。