「与党過半数割れ」でハッキリと見えた!日本の政治家の「政策論」が深まらない理由…日本政治に巣食う「忖度」と「不勉強」のヤバすぎる病魔の正体
「人間関係の煮詰まった集団」の欠陥
まとめてみると、国会議員のような人間関係が煮詰まった集団では、上への忖度が絡みあって自由闊達な議論をすることが難しいのではないか。 それは、日本企業でも同じである。しかし、企業ではグローバル競争の下で自分の弱みを冷静に認識することが求められ、そうでなければ業績にすぐに跳ね返ってくる。競争企業に弱みを突かれる前に、自分で弱みを認識しなければ、競争に勝ち残ってはいけない。 ところが、政治家の政策論議が深まらないのは、人間関係が煮詰まっていることに加えて、競争圧力が弱いことによるのだろう。10年以上も安定多数を維持してきた与党のゆるみとも言えなくもない。 今回の選挙では国民のはげしい怒りが与党を過半数割れに追い込んだから、これを機に「政策議論」が進化を遂げることを期待したい。 最後に、石破首相の発言録の批判のようになってしまったことをお許しいただきたい。そうなってしまったのは、首相の発言だからたくさんの材料があるので書きやすかったからにすぎない。賢明な読者の方々には、石破首相だけがそうだという話しではないことを、十分におわかりいただけるだろう。 さらに連載記事『サンデーモーニング「関口宏の発言」にうんざり…佐々木麟太郎の「米名門大学進学」を批判する「昭和の空気」が、日本のスポーツをダメにした!』では、政治だけでない日本のおかしな「空気」について考えているので、ぜひこちらも参考にしてほしい。
原田 泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員)