1人で5分の訪問看護、でも記録上は〝2人で30分〟 「患者や家族はおかしさに気付かない」ホスピス型住宅の「手厚い」ケア
行政のチェックも機能していない。訪問看護の回数が適正かどうか1件1件確かめることは事実上、不可能。監査の担当職員は少なく、内部告発がなければ不正が発覚するのはまれだ。ある看護師は「行政の監査はあまりにも『ザル』だ」と嘆く。 縦割りの壁も立ちはだかる。訪問看護は介護保険と医療保険の二通りある上、医療保険の場合は利用者が加入する保険によって指導監査の担当が国の地方厚生局と自治体に分かれる。 生活保護の場合は、自治体の中でも担当がまた別で、内部告発した複数の看護師は「たらい回しにされ、途中でいやになった」と話した。現場で行われていることを行政の各担当部署がブツ切りでしか見ていないという実情がある。 ▽取材後記 入居先の老人ホームで「うちは看護師が1日3回、複数で訪問する手厚い態勢を敷いています」と説明されたら、多くの人は「安心だ」と思うだろう。「診療報酬を多く取るためではないか」などと疑問を持つ人はほぼいない。
「でも、回り回って税金や保険料が無駄遣いされている。こういう実態があることを一般の人に知ってほしい」。ある看護師はそう訴えた。 *********** ホスピス型住宅の訪問看護について情報、ご意見をお寄せください。 tkh.joho@kyodonews.jp