1人で5分の訪問看護、でも記録上は〝2人で30分〟 「患者や家族はおかしさに気付かない」ホスピス型住宅の「手厚い」ケア
看護師らは次のように証言した。 「『チョコを食べる際に付き添いが必要』と理由をつくって訪問看護に入る」 「散歩の付き添いやマッサージなど、1人で十分と思われる場合でも2人で訪問する」 「複数人での訪問には患者の同意が必要なのに、同意がなくても続ける」 「入居者さんから『カネもうけのためやろ』と言われた」 「回数を増やすため、入居者が寝ている夜間に訪問して、かえって生活リズムを崩している」 ▽「都合のよい指示書を書く医師にも責任」 訪問看護には医師の指示書が必要だ。だがアプリシェイト東淀川で、ある入居者の指示書を見た看護師は「あぜんとした」と話す。 指示書には「ほぼ寝たきり」「がん末期のため痛みと嘔気(おうき)強く、複数人での訪問を許可する」と書いてある。ところが「この人、自力で車いすで動けます。実際の状態と全然違う。はっきり言ってうそです」。 ホームへ訪問診療に入っている医師に会社側が指示書の発行を頼み込み、医師も応じているのだという。
「訪問看護ステーションに頼まれるまま、都合のいいように指示書を書く医師がいる」。訪問看護について取材していると、こうした声をたびたび聞いた。「医師も訪問診療に入っているので、持ちつ持たれつ」「指示書を書けば、医師にも診療報酬が入る」。複数の看護師が「必要ないのに指示書を書く医師にも責任がある」と訴えた。 アプリシェイトグループはどう答えるのか。取材に対し、こう回答した。 「必要性に関係なく、訪問看護の回数を増やしたり複数人での訪問をしたりしている事実はない。患者・家族の意向や状態を鑑みて実施している。療養生活を支援し心身の機能維持・回復のためには、状態観察をしっかり行うことが必要だ。訪問看護の指示書を医師に頼み込むということも一切ない」 ▽「助かっている人もいる」悩ましさ ホスピス型住宅は、比較的大手の4社だけで北海道から九州まで約200カ所(定員計約9千人)あるほか、中小の事業者による開設も各地で相次いでいる。