『虎に翼』直人役の青山凌大の素顔「大切な人が大切な人と楽しそうにしているのを見るのが好き」
花江さんへの台詞は、自分の母への感謝の気持ちを重ねました
――青山さんは第20週からの出演となりましたが、周りの反響はいかがでしたか。 僕のおじいちゃんが自営業をしてるんですけど、取引先の方に僕が出るよってメールをしていて。お客さんからの反応も一つ一つLINEで教えてくれて。面白いおじいちゃんだなと思いました。 ――直人はお父さん譲りの「僕にはわかる」が口癖。青山さんはお父様似ですか。それともお母様似ですか。 両親を知っている人からは、中間かなってよく言われます。僕の父は、誠実な人。大らかで、明るくて、友人も多くて、僕はそこは似なかったですけど(笑)、でも尊敬しているし、自分もこうありたいって憧れています。 母は、優しい人です。というか、僕から見ると甘いレベルで(笑)。僕もよく甘いと友人から言われるので、そういうところは似ているのかもしれません。 ――ご両親は、青山さんのご活躍をどうご覧になっているんですか。 家族裁判のシーンで「俺ら、お母さんに幸せでいてほしいだけだよ」と言うくだりがあるんですけど、あのシーンを見て、母が「感動した。自分に言われてるみたいだった」って感想をくれて。僕もちょっと意識したというか、自分の母親に対する感謝の気持ちを重ねたところはあったので、母からそう言ってもらえたのはうれしかったです。 ――死んだ父親から「お母さんのことを頼むよ」と託された直人がお母さんの面倒は僕たちが見ると宣言したシーンですよね。 あそこは10分以上の長回しだったので、もう緊張感がすごくて。でも、みんな一発OKなんです。直前まで笑いながら普通の会話をしてるのに、「よーい!」の瞬間に切り替わって、そこからは完璧。本当にすごい方たちだなと思いました。
大切な人が大切な人と楽しそうに生きているのを見るのが好き
――『虎に翼』には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、いちばん共感するのは誰ですか。 航一さんかな。人と距離をとりたがるところが、わりと似ている気がします。 ――あまり人と関わりを持ちたくないタイプなんですね。 内心では関わりたいんですよ。でも、関わり方がわからない(笑)。それこそ仲良くなりたいなと思った人ができたとしても、その人にはこれまでの人生の中でもうすでに大切な人がいるわけじゃないですか。今さら自分がそこに割って入るのは違うというか。どっちかと言うと、自分はそこに入らなくていいので、大切な人が大切な人と楽しそうに生きているのを見ているのが好きなタイプです。 ――天性の当て馬気質ですね(笑)。もし恋愛的な意味で好きな人ができたとして、その人が他の誰かを好きだったらどうしますか。 もうすでに付き合っているなら絶対に邪魔はしないです。もし付き合っていないなら応援したい気持ちもあるけど、その恋をしていて幸せじゃないのであれば僕のことを好きになってもらえる努力はしたいです。 ――もし好きな子が片想いに疲れて悩んでいたら。 僕がそばにいて楽になるのであれば、そばにいてあげたいです。でも、弱っているところにつけ込むようなことはしたくないかな。気持ちが弱ってるときって正常な判断ができないじゃないですか。そういうときにアピールするのはどうなんだろうって。こういう考えなくていいことまで考えちゃう性格なんですよね……(笑)。それがいいことだとは思っていないんですけど。 ――前提として、自分が傷つくのが嫌なのかなという印象もあります。 嫌ですね(笑)。 ――あまり他人に執着しないのも、誰か特定の人を拠り所にすることで、そこの関係がダメになったときに自分までダメになることを恐れているような……。 そうですそうです(笑)。もちろん家族とか友人とか拠り所にしている相手は僕にもいますし、誰かから頼られたらうれしいし、自分にできることならなんでもしてあげたい気持ちはありますけど。 ――リアルにトラちゃんみたいな人がいたら距離を置くタイプですか。 というより、僕にもトラちゃんみたいな時期があったんだと思います。それこそ小中のときは自分で言うのもなんですけど、正義感の塊みたいな子で。アリを潰している子とか大っ嫌いで本気で怒ったりして、よく真面目って言われていたんですけど。いろいろあって、今は主張をするのに疲れちゃったのかもしれない(笑)。 ――でも、俳優というのは、人に対して深く踏み込むことを避けられない職業とも言えます。 そういう意味で、すごくいい出会いになったのが(叔父・直明役の)三山(凌輝)さんでした。三山さんって人との距離が近くて、何でも話してくれる人なんです。三山さんとたくさん話したおかげか、「朝ドラに入ってから明るくなったね」とよく言われます(笑)。 ――役柄上は叔父と甥ですが、実年齢は近いですもんね。 それこそ三山さんと僕って誕生日が一緒なんですよ。名前も「山」と「凌」と共通の字が入ってて。だけど、性格全然違うよねって話を現場でしていました(笑)。