渡辺恒雄さん死去、石破首相「偉大なジャーナリストだった」
戦後の政治報道で存在感を発揮した渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆が死去したことを受けて政界からも悼む声が上がった。石破茂首相は19日、「偉大なジャーナリストだった。先の大戦やいろいろな日本の歴史観について教えていただくことが多かった。日本の政治がこういう状況にある中、党や民主主義のあり方、これからの平和国家としての歩みについて、まだまだ教えていただきたかった。ご冥福をお祈り申し上げる」と述べた。首相官邸で記者団に語った。 【写真特集】安倍元首相とプロ野球を観戦する渡辺恒雄さん(2018年) 自民の岸田文雄前首相は19日、国会内で記者団に「言論人としてマスコミ人として大きな影響を、日本の戦後の歴史において残された方だった。一つの時代が終わった、と感慨深く感じている」と語った。 渡辺氏は、岸田氏の父・文武氏と旧制高校の同級生だった。岸田氏は「父が亡くなった時に葬儀の友人代表として渡辺主筆に弔辞を読んでいただいた。途中で渡辺主筆、号泣されて、途中から弔辞が読めなくなったことがあった。大変、印象深い場面だった」。首相在任中にも「度々会社でお話を聞かせていただいた」と振り返り、「今年の8月に私自身が退陣表明した後、電話でお話ししたのが最後だった。私の政治人生にとって大切な方だった」と悼んだ。 立憲民主党の野田佳彦代表は「長年にわたって日本の言論界をけん引してきた巨星であり、心からお悔やみを申し上げる」とのコメントを出した。 首相在任中の2012年8月、尖閣諸島の国有化を進める際に渡辺氏を首相公邸に招き、会食をした思い出を振り返り、「その際、相談させていただいたことも見事に果たしていただき、その後も全く恩着せがましいことはおっしゃらなかった。そのような懐の深さに感銘を受けた記憶が今もよみがえってくる」と述べた。【小田中大、内田帆ノ佳】