サウジアラビアがWeb3に注力、ドバイに対抗できるか?
メタバース「NEOM」
2017年に発表された1兆5000億ドル規模の砂漠都市NEOMのメタバースプラットフォーム「XVRS」は、サウジアラビアにとってこれまでで最大規模のWeb3関連プロジェクトだ。 NEOMを模した没入型デジタルプラットフォームの開発には10億ドル以上が投資されたと報じられている。このスペースは、没入型エンターテインメント、ソーシャルプラットフォーム、暗号資産とNFTのためのデジタルマーケットプレースを組み込んでいるとプロジェクトの後援者は述べている。 2月に開催されたサウジアラビア投資協会の第1回「Leap Summit」で、Hashgraph Association(ハッシュグラフ協会)は、2億5000万ドルのベンチャースタジオであるDeepTech(ディープテック)をはじめとする、地元のハイテク・スタートアップを支援するための5年間のパートナーシップを発表した。 サウジアラビアの年次テックカンファレンスであるLeap Summitは、今年22万人以上の参加者を集めた。これはラスベガスのCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の約2倍だ。
期待される規制整備
サウジアラビアの暗号資産に関する法的規定は不明確だが、ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)のレポートによると、サウジアラビアの人口3600万人の間で暗号資産に対する意欲が高まっていることが明らかになっている。 サウジアラビアの暗号資産投資家は2023年に3億5000万ドル相当以上の利益を獲得し、同期間に約2億400万ドルを記録したUAEを抜いたと分析されている。 世界最大の暗号資産取引所Binance(バイナンス)は、サウジアラビアにおける同社の開発リーダーであるバンダル・アル・トゥニシ(Bandar Al Tunisi)氏によると、成長の源泉として同国に注目している。 Binanceはサウジアラビアの中央銀行にあたるSAMA(サウジアラビア通貨庁)や資本市場規制当局、通信情報技術省などの規制当局と協議しているという。アル・トゥニシ氏は、早ければ今年中にも国内でデジタル通貨に関する「ハイレベルな」規制が行われることを期待している。 「チャンス、成長、指導者の意欲と機敏さ、地元住民の能力という点で、世界で最も重要な場所のひとつだと思う」とアル・トゥニシ氏は語った。 「(規制のフレームワークが)今年中に実現することを期待している。もちろん、それは我々がコントロールできることではないが、我々は現場にいる。準備はできている」 サウジアラビアのイノベーション育成に対して積極的なアプローチは、戦略的パートナーシップや「ビジョン2030」イニシアチブと相まって、サウジアラビアを世界のWeb3の展望における重要なチャレンジャーにしている。 政府の推進力が牽引する現在の期待が、持続可能なWeb3産業につながるかどうかは、時間が経てばわかるだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:サウジアラビアの首都リヤド(Shutterstock)|原文:Web3 in the Middle East: Do All Roads Lead to Riyadh?
CoinDesk Japan 編集部