自分を”落とした”クラブにリベンジ誓う…自身の価値を証明へ ダービー前に藤枝MYFC主将が思うこと
念願の試合の直前に大ケガ
憧れのクラブと憧れのピッチで戦える。ところが、その矢先だった。 2023年5月、エスパルスとの試合の6日前に全治8か月の大ケガをした。右ひざ靭帯 複数断裂だった。 藤枝MYFC・杉田真彦 主将: 一番やりたかった試合だったからへこみましたね。なんでこのタイミングで?と。「神様はいないな」という感覚にはなりましたね
辛い現実を受け止めきれない日々。ただ、そんな時に目に飛び込んできたのが早期復帰を願うスタンドの横断幕だ。「Hope you get well soon(早く良くなって)」「キャプテン杉田と共に勝利をつかもう」と記されていた。 サポーターの中心になって横断幕を制作したコールリーダーは「杉田選手の復帰を待っているという意味を込めた。僕たちのキャプテンがケガをして、(サポートを)形として表現したかった」と話す。 杉田選手は「本当に泣きそうになった、というかほぼ泣いた。あれ(横断幕)があったと無かったとでは、相当(自分の気持ちが)変わっていたと思うし、本当に心から待ってくれている人たちがたくさんいると認識できた」と支援に感謝する。
試合に出られない主将の思い
待っていてくれる人たちがいる。ここでは終われない… これまで、多くの挫折から這い上がってきた自分の原点に立ち返り、彼は新たな一歩を踏み出した。 ケガで試合に出られなかった期間、チーム練習は午前9時からだが、杉田選手は午前5時~6時に起きてヨガやストレッチ、体幹などのトレーニングをした。 そして、チーム練習の後は整形外科でのリハビリやプールで筋力と体力を鍛えた。 リハビリ中に取材した時、杉田選手は「やることをやらないと。あと半年くらいあるけど1日も無駄にできない」と話していた。
その姿は仲間たちにも伝わっていた。 横山暁之 選手(現ジェフ千葉)は試合が終わった後、杉田選手がスタンドの下で先頭に立って選手たちを待っていたことを覚えている。川島将 選手は「それがあいつなりのキャプテンとしての対応。(練習でも)あいつが見ているのは選手たちも感じていた」と選手の気持ちを代弁する。 2023年シーズンの藤枝MYFCは杉田選手の離脱後、一時は17位と降格圏手前まで順位を落としたが、仲間が奮起して12位まで順位を上げJ2残留を決めた。