受注1万台に到達! スズキの小型SUV「フロンクス」はコスパ良好?
■6速AT採用の効果は? 走りを支える動力は排気量1.5リッターのガソリンエンジンを基にしたマイルドハイブリッド(MHEV)で、これに6速自動変速機(AT)を組み合わせる。この6速ATは、2016~2020年まで日本で販売されていたバレーノも採用していた。近年はATの多段化が進んでいるが、小型車種での多段化を進めてきたことがフロンクスにつながっている。
小型車の変速機というとCVT(ベルト式無段変速機)が一般的だ。しかしCVTは、加速の際にエンジン回転が高くなりがちで、上質さに欠ける面がある。それに比べて従来型のATは、動力を直結にするロックアップ機構の採用や変速制御の適正化などにより、快適な加速をもたらすという利点がある。ロックアップ機構や多段化は燃費の改善にも役立つ。 海外市場でも原動機の主軸となるマイルドハイブリッドは、アイドリングストップからのエンジン再始動でスターターモーターの騒音を抑え、回生によるエネルギー回収にも役立つ。電動化時代の原点といえる手法だ。 駆動方式は前輪駆動(2WD)を基本に、日本仕様には4輪駆動(4WD)車を追加している。これは降雪地域への配慮だろう。フロンクスの日本での販売は基本的にワングレード。2WDが254.1万円、4WDが273.9万円だ。
■走りは上質! 乗り心地は硬め? 駆動方式の異なる2台に試乗した印象としては、2WDが価格と価値の調和が取れていて好感が持てた。アクセルペダルを軽く踏み込めば、すっと動き出す。そこからの加速は軽快で、快い。6速ATの効果もあり、速度を上げる場面で無闇にエンジン騒音が高くなることがなく、静粛性を保ち、変速ショックも意識させず、思いのままに駆けていく。 乗り心地は少し硬めで、欧州車のような乗り味がある。それでいて、路面の変化を衝撃として体に伝えることもなく、しっかりとタイヤが路面をとらえている安心感がある。この乗り心地は後席も同様だ。助手席の方がややしなやかな印象があるが、後席も路面変化で体が跳ねるようなことがない。足を下ろし、背筋を伸ばし、腰を落ち着けて座ることのできる座席の作りもよい。