練習は本当にウソをつかないのか…体力温存のためあえて“練習させない”時代 新しい風はいつもパ・リーグから
◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」 ◇14日 ロッテ3―4中日(ZOZOマリン)=延長10回 ◆郡司裕也と岡林勇希、田中幹也、飲食店での3ショット【写真】 前日からの続きのような書き出しになるが、昨秋のキャンプで日本ハムの臨時コーチを務めた荒木雅博さんが、エスコンフィールドの芝生よりも驚いたことがある。 「だって(午前)9時に始まって(午後)1時に終わるんですよ? そこから先は個別練習もダメ。完全撤収。で、午後から新庄さんの高そうなコートとかをプレゼントするイベントが始まるんです」 ぶっ倒れる寸前までノックを受け、日が暮れてボールが見えなくなってから走り込み。そんな落合式キャンプで鍛えられた荒木さんには、衝撃の4時間キャンプだった。 パ・リーグは北海道から福岡と広範囲に本拠地があり、移動の負担が重い。先日もある関係者から「選手は『交流戦は移動が楽でいい』って喜んでます」と聞いた。つまり、セ・リーグにはつらい季節。この日の中日は午前8時半に宿舎を出発し、同9時30分と45分発の飛行機に分乗し、羽田経由で千葉市に入った。 近年、球団によって差があるのは、ここから試合開始までの過ごし方だ。典型例がロッテ。千葉から広島まで4時間かけて移動した7日、大瀬良の前にノーヒットノーランを喫した。翌8日はデーゲーム。何と試合前の打撃練習を行わなかった。 「打ってもノーヒットだったんで、打たなかったらどうなるかなと。ほっといたら(選手が)打っちゃう。自分は投手なんで、打撃練習は本当に必要かなって思ってる」 吉井監督は前日も打たせたくなかったようだが、自主性に任せたら全員が打った。だから翌日は打撃ケージを片付けさせた。もちろんあきらめたのではなく、休養と体力温存が目的だ。移動と試合は変えられないが、練習だけはコントロールできる。 この日の中日は試合前は通常通り練習した上で、ハードな移動後の延長戦を勝ちきった。数えたわけではないけれど、年間の総スイング数もパの若手より中日の若手の方が絶対に多いはず。だけどこうも思う。猛練習は変わらぬ美徳なのか。練習は本当にウソをつかないのか…。「しない」ではなくあえて「させない」という時代。新しい風は、いつだってパ・リーグから吹いてくる。
中日スポーツ