ソフトバンクの独走Vは“金銭野球”だったのか…「総スカン」小久保監督がヘッドの意見を聞いた「5番・近藤」と育成から支配下登録した8人の意義
また投手陣でも岩井俊介、村田賢一、澤柳亮太郎、大山凌のルーキー4人を抜擢している。故障者をカバーしたのは選手層の厚さである。柳田の穴は、正木智也、柳町達らが補い、9月に近藤が抜けた穴は、中村晃が埋めた。また投手陣は、ストッパーのオスナが離脱した7月は、松本裕樹、松本が9月に抹消されると、昨季加入の左腕のヘルナンデスが、きっちりと役目を果たした。セットアッパーでは未完の大器と言われた杉山一樹が覚醒した。 池田氏は「先発はモイネロ、有原、大津の3人が軸になったが、春先は、まだ整備できていなかった。それが4月、5月は6連戦ではなく2連戦と3連戦の週に5試合というパターンが3度、4度続いて助けられた。序盤戦のダッシュにつながった。ターゲットとしていたオリックス、そして西武の調子が上がらず勝ち星を稼げたことも大きかった。流れがソフトバンクにあった」という。 小久保監督は「美しい野球」をスローガンに掲げた。 「勝利の神様は細部に宿る」とも言い続けた。池田氏が小久保監督をインタビューして驚いたのは、小久保監督が、自宅、あるいは遠征先では宿舎に帰り、毎試合、録画した試合を早送りせずに見直して、選手だけではなく、監督、コーチまで、ベンチでの立ち振る舞い、表情、ユニホームの着こなしまでをチェックしていたことだという。 「見られていることを意識せよ!」 選手には、そう問いかけたという。 「そういう細かな部分まで注意することが、ゲームへの集中力につながるという考え。徹底していましたね」 一方で、昨年はFAで日ハムから近藤を獲得し、メジャー帰りの有原、ロッテの守護神だったオスナまで“強奪”。今季も山川や巨人のウォーカーなどの大型補強を行ったことへの“金銭野球”という批判もある。 池田氏はこんな意見だ。 「あまりにも強いので、そういう意見が出てくるのはわかるけれど、考えてみてく下さい。60億円補強と言われる大型補強をしてここ3年は勝てなかったんですよ。生え抜きの若手のプラスアルファで勝てた。お金をかけたから優勝できるというものではない。金銭野球という表現で今季の優勝を語るのは間違い」 次なる目標はもちろん日本一。その前にクライマックスシリーズでリベンジに燃えるライバルチームを蹴散らさねばならない。だから小久保監督は、「余韻に浸るのは今日だけ」と言った。
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