半導体のラピダスはこのままでは99.7%失敗する
しかし、何も今回のプロジェクトだけではない。2009年に稼働を開始したシャープの堺工場は閉鎖され、2004年にはNECエレクトロニクスの半導体工場として稼働を始めた山形県の鶴岡工場は、ルネサンス、そしてソニーおよびTDKと事業主と製造する製品を変えていった。 だいたい5年でその工場の賞味期限は過ぎ、失敗に終わっている。 その他、小さな規模ではありとあらゆる事例がある。かつて工場誘致に躍起だった地方自治体は、工場の誘致ではなく、地域内の自力活性化及び多様な人材を呼び込むというソフト戦略に切り替えている。地方自治体は10年ちょっとで学んだが、国は25年ではまだ時間が足りないようだ。
もうひとつ。この失敗は何も国家プロジェクトに限ったことではない。ほとんどすべての日本企業に共通する失敗である。シャープも東芝もソニーもパナソニックも、ほとんどの企業が失敗している。 なぜなら、日本企業はすぐに社運を懸けて、全力で投資するからである。そして、失敗して、破綻の危機に陥る。何が悪いのか。社運を懸けたことである。いかなるときも、1つのプロジェクトに社運を賭けてはいけない。スタートアップでもないのに、捨て身になってはいけない。第2に、懸け方が間違っている。懸けに負けた後のシナリオを用意していない。しかし、いちばん間違っているのは、勝てない懸けに懸けていることである。
■短期間で投資を回収する21世紀 前述のように、21世紀の特徴は、先が見えない、変化が激しいことである。技術的にどれが勝ち組になるかわからない。消費者の嗜好がいつ変わるかわからない。だから、皆、製造業での設備投資という固定するような投資はやめてしまったのだ。 就職先も、コンサルティングや投資銀行と、勝ち組をクライアントとし、それに寄生し、寄生先を次々乗り換えていく職業が、人気があるのである。古い企業で勝ち残っているのが商社とリクルートと広告代理店であるのも必然だが、広告は違う戦いになってきたから、もはや危うい。商業銀行もかつては同様にして生き残ってきたが、もはやだいぶ前から危うくなってきている。