A4サイズになる電動キックボード!? 次世代モビリティで世界に挑むSMZ代表 清水正輝さんインタビュー
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。 A4サイズになる電動キックボード!? 次世代モビリティで世界に挑むSMZ代表 清水正輝さんインタビュー 今回は、Japan Mobility Show 2023でも話題になった次世代のE-Scooter「Arma(アルマ)」の生みの親、SMZ株式会社 代表の清水正輝(しみず まさき)さんをインタビュー。「移動の未来」への思い、今後の展望について伺いました。
「失われた30年」からもう一度、世界一へ
──まずは起業の経緯から教えてください。 平成元年の世界時価総額ランキングは日本企業が首位どころか、上位50社中32社が日本の企業でした。ところが、平成30年にはトヨタ自動車しか入っていない。それって、すごく悔しいことだと僕は思います。 僕は平成8年生まれで、「失われた30年」の中、ずっと悔しさを感じながら育ってきました。そんな状況に「一石投じたい」という気持ちが、起業に至った最初のきっかけです。 ──モビリティに着目したのはなぜですか? 純粋に乗り物が好きだったからです。 実家は岡山の長閑な場所で、田畑の中に家がポツンとあるような場所なのですが、そこにスポーツカーやバイクが何台もあるような家でした。父親も兄もクルマが好きで、その影響で自分も好きになったんです。 ──最初からモビリティでの起業を考えていたのですか? 実は僕はIT系の会社でキャリアをスタートさせました。 しかし、IT業界は世界的にも競争が激しい業界で、そのなかで日本から世界一になるのはかなりハードルが高い。ですが僕は起業するからには、日本から世界一のプロダクトをつくりたかった。 そこで、元々好きだった「乗り物」をつくることにしました。でも知識も経験もゼロ、おまけに資金もない状態ですから、最小限のコストで最大限の成果を上げられる乗り物は何かと考えたとき、浮かんだのが電動キックボードだったんです。 ──ゼロからのスタートですが、何からはじめたのでしょうか? まずサンプルをつくるために、中国の工場をとにかく調べました。 今、電動キックボードの多くが中国で製造されています、生産体制も整っていてモビリティメーカーもあるので、つくるのが早いんです。 60社くらいに声をかけて、最終的には数社に絞り、モビリティ事業を開始して2カ月目にはサンプルができていました。 当時はまだ売上も立たないので、ソフトウェアエンジニアの受託を受けながらの自転車操業状態でしたが、この時につくった高性能の電動キックスケーターはクラウドファンディングで2300万円の売上になりました。 ──モビリティ事業の手応えがあったわけですね。 そうですね。また同時並行で、A4サイズに畳める世界最小のE-Scooter「Arma(アルマ)」を開発していたのですが、このどこにでも持ち運べるポータブルモビリティという分野は、まだ世界のどこにも市場がなかったんです。 たとえば欧米の電動キックボード市場はかなり大きいのですが、ポータブルモビリティはまだない。僕は新たなプロダクトをつくるときは同時に、市場をつくることも考えています。