トランプ政権の「円高要求」を口実に利上げか 2025年、日銀の金融政策 そのとき景気回復していなければ暗転も
【日本の解き方】 日銀は昨年、マイナス金利の解除や利上げを行った。2025年はどのようなペースで利上げをしようとするのか。経済にどのような影響が出ると考えられるのか。 【ランキング】業種別でみる平均年収トップ50 3位はたばこメーカー 筆者は以前のコラムで、日銀は、経済に対して緩和でもなく、引き締めでもない「中立金利」を1~2・5%程度とみていると書いた。米国の連邦銀行が使っているモデルで試算すると、2%程度が本命といえる。 今の政策金利は0・25%なので、あと7回上げないといけない。しかし、今年の政策決定会合は1月23~24日、3月18~19日、4月30日~5月1日、6月16~17日、7月30~31日、9月18~19日、10月29~30日、12月18~19日の8回しかないので、25年中に達成するのはほぼ不可能だ。 となると、25年中に何回利上げするのか。植田和男総裁の任期は28年4月までで、それまで26回の政策決定会合がある。植田総裁は、金利の正常化を自分のレガシー(遺産)にしたいはずだ。任期中に中立金利まで引き上げるため、3~4回に1回の割合で利上げスケジュールを練っているのではないか。となると、25年は2回位できればいいとなる。 ここで気になるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の動きだ。米国の中立金利は3%弱程度といわれている。今の政策金利は4・5%なので、日本とは逆にあと7回ほど利下げが必要だ。政策決定会合にあたるFOMCの最近の見通しによれば、25年が2回、26年が2回、27年が1回とされている。 25年のFOMCは、1月28~29日、3月18~19日、5月6~7日、6月17~18日、7月29~30日、9月16~17日、10月28~29日、12月9~10日の8回だ。 年前半は日本の会合が先で米国が後、後半はその逆というスケジュールだ。 前述したように、米国の利下げは、25年中に2回とされている。だが、24年後半には4回、しかも、11月、12月と立て続けに行っている。 米国の動きを占うには、ドナルド・トランプ次期政権の動きも見なければいけない。トランプ政権は、円安について「近隣窮乏化」であることを正しく理解し、米国経済にはマイナスだとしている。