悲願初Vの琴桜 制限時間いっぱいで“鬼の形相”に変化するルーチンのワケは…
◆大相撲 ▽九州場所千秋楽(24日・福岡国際センター) 大関・琴桜(佐渡ケ嶽)が14勝1敗で悲願の初優勝を果たした。2003年名古屋場所の魁皇―千代大海以来、21年ぶりの大関同士の千秋楽相星決戦となった豊昇龍(立浪)との一番をはたき込みで制した。 祖父は先代師匠で元横綱の琴桜。その祖父が1973年名古屋場所で優勝して以来、51年ぶりに「琴桜」が賜杯を抱いた。“2代目”琴桜のルーチンとしてお茶の間におなじみなのが、最後の塩を取った後に“鬼の形相”に変わるシーンだろう。今ではその瞬間には館内も大きく沸く名物となりつつある。 ところがいつから始めたかは本人も、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)も明確に思い出せないという。琴桜は「意識してやり始めていないので。三役ぐらいからかな?」と記憶はたどるが、覚えていない。仕切りの制限時間は幕内が4分。その間「ずっと力を入れていると疲れてしまうので。その(時間いっぱいの)瞬間にパッと(勝負へのスイッチを)入れようと思ったのがきっかけです」と理由の一端を明かし、「やれ、と言われてもあの顔はできるものじゃないですけどね」と笑った。 少年時代には祖父から「鬼になれ」という教えを受けた。今のルーチンはある意味で、祖父の言葉を体現しているとも言える。師匠は「自分で気合を入れているんでしょうね。あの顔をすることでスイッチが入ったと思って盛り上がるので、いいんじゃないですかね」と話していた。
報知新聞社