認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父…にしおかすみこが語る介護生活「図太くなりました」
介護は我慢し過ぎないことが大事
――介護のストレスをどのように発散していますか。 「友人や先輩方に愚痴を聞いてもらいます。あとは、お金に余裕がないは一旦心の隅に追いやって、高いランチを食べに行きます。あとは、週1回くらいですけどヨガに行ったり、ウォーキングをしたりします。汗をかくと少しスッキリします。すごく病んじゃうと元気な状態に戻りづらくなると思うんです。だから、ちょっと疲れてるかなと思ったら息抜きを心がけます。こまめに私の心に耳を傾けるようにしています」 ――著書にも書かれていますが、我慢をし過ぎないことが大事だと。 「それ大事です! 私だけじゃなくて、母も姉も我慢しない、自分ファーストでいて欲しいです。でも例えば母がものすごく暴言を吐いて、それを何度も繰り返したら、症状だとわかっていても、猛烈にこちらも腹が立ちます。『クソババア!』って私も言い返し、自分にがっかりします。例えば母が『ママ何だったらできるかね。何だったら忘れないでいられるかね』としょげて、消えてなくなりそうなのを見るときは、こちらも悲しくなります。怒っている母のほうがまだいいと思ったりもします。母らしくって、どの状態? 家族皆が自分らしく生きるって、どうしたらいい? もう迷子です。わかりません。きっと全員が皆満足はないのかなと思います。どこでどういう折り合いをつけるのか、絶賛模索中です」 ――介護は、真面目な人ほど体を壊すことも多いと言われますね。 「自分が何とかしなければと思ってしまうんですかね。……私、元気ですけど、真面目ですよ(笑)。家族4人で住んでると、あれもこれもって目につくんです。でも、自分の心に言うんです。『4年前ウチはゴミ屋敷だった。あのときよりはマシでしょう? だから、あれもこれもとりあえずはいいや。私、絶対に頑張らない』って。だから、大体のことは何とかどころか、何ともしないです(笑)」 ――『自分ファースト』は大事にしたい、と。 「はい、そうです。それともう1つ、私はたまたま実家に帰りましたけど、それが良いとも悪いとも思ってないです。それぞれのご家庭によります。遠くから見守るも、施設を選択されるも、全部を捨てて逃げちゃうも、皆さんが一生懸命考えて出した選択です。私は今後、自分が病んでしまうくらいなら、逃げる気満々です。とにかく、まずご自身を大切にされてくださいと思います」 ――では、にしおかさんの今後の目標は。 「まずは今、出ている1冊目、2冊目でたくさんの方々に笑っていただきたいです。書籍や連載を読んでくださった方々から『笑った』『泣いた』『感動した』というコメントをいただくと、私のほうが元気をいただいてしまいます。私は貪欲です。3冊目も出す気です(笑)。私の書く文章を好きになって欲しいですし、疲れている方や悩んでいる方の箸休めになればなと思います」 □にしおかすみこ 1974年11月18日、千葉県出身。2007年、日本テレビ系『エンタの神様』で女王様キャラのSMネタでブレイク。09年、春風亭小朝の指導のもと落語に挑戦。高座名は「春風こえむ」。現在はテレビ東京系『なないろ日和!』などレポーターとしても活動。趣味のマラソンでは、19年にフルマラソンで3時間5分3秒、15年には能登半島すずウルトラマラソン102キロ女子の部にて第2位を記録。23年1月、著書『ポンコツ一家』(講談社刊)、今年9月に『ポンコツ一家2年目』(同)を出版した。
福嶋剛