2リッターV8ターボエンジン搭載のフェラーリ|ハチマルユーロー Volume.25|1986年式 フェラーリ GTS ターボ
【1986年式 フェラーリ GTS ターボ イタリアの国内税制に対応するためのターボモデル】 【画像15枚】往時の日本と同様、排気量2L以上の車両に高額の税金を要求したイタリア税制。 それに対応して誕生した2000ccのフェラーリは、ターボチャージャーの力を得て、 まったく別の魅力、あるいは魔力を持つ「ピッコロ(小さな)スーパーカー」に変ぼうした かつての日本と同じく、2000ccを境に自動車税額が大きく異なったイタリア国内マーケットに向けて、スーパーカー専業とするメーカーたちも1970~80年には排気量を2ℓに縮小したモデルをイタリア市場限定で販売。ランボルギーニは「ウラッコP200」、マセラティも「メラク2000」を発売した。 そしてフェラーリも負けじと3L V8ティーポ「F106A」型エンジンを縮小した「F106C」ユニットを開発。71㎜ストロークはそのまま、ボアを81㎜から66㎜まで短縮することによって排気量を1991ccに縮小しながらも、170psをマークすることになった。 この2000cc版V8フェラーリは、まず75年に2+2ミッドシップの「208GT4」として登場したのち、80年以降は2シーターの「208GTB/208GTS」もデビュー。また82年にはKKK社製ターボチャージャーを装着することで220psを発揮する「208GTB/208GTSターボ」へと進化する。 さらに、フルスケールモデルが308GTB/308GTSから328GTB/328GTSへと進化した85年には、ターボチャージャーをKKK社製から、288GTOやF40などと同じ日本の石川島播磨重工業(現IHI)製に変更。BEHR社製インタークーラーの装備なども併せて254psまでパワーアップ。そして車名からは「208」の文字が消滅し、シンプルに「GTBターボ/GTSターボ」と呼ばれることになった。 外観では208ターボ時代からの特徴であったリアフェンダー下部のNACAスクープを踏襲したほか、リアバンパー上部には四条のスリット。また328ではオプション(日本仕様328は標準装備)とされていたルーフ直後のエアスポイラーが標準装備化されるなど、ターボの熱対策のため特有のディテールが与えられていた。 GTB/GTSターボは事実上のイタリア国内市場専用モデルで、約3年の生産期間にマラネッロ本社工場から送り出された台数も、GTB ターボでは308台。当時は多数派であったGTSターボでも828台という、極めて少ないものに終わった。そして328シリーズの後継車348シリーズ以降は、イタリアの税制が改定されたことに伴い、2L版の設定は行われることがなかったのである。
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