《ブラジル》31歳女性が脂肪吸引後に死亡=手術直後に意識喪失、急変
31歳女性がサンパウロ市の美容クリニックで背中と腹部の脂肪吸引の施術直後に心停止を起こし、死亡した。被害者は当日に初めて執刀医と直接面会し、費用1万レアル(約26万円)を支払っていた。事件後、同クリニックは閉鎖され、SNSアカウントも削除されており、警察は医師に過失があったかを慎重に捜査している。27日付G1などが報じた。 事件は26日、同市東部コンセリェイロ・カロン大通りにある美容クリニック「マナ・デイ」で発生。被害者パロマ・ロペス・アルヴェスさんは、「ハイドロリポ(ポ語表記はhidrolipo)」と呼ばれる脂肪吸引施術を受けるため、午前中に夫に付き添われクリニックを訪れた。 ハイドロリポはミニリポとも呼ばれ、局所麻酔を用いて体の一部を無痛にし、意識を保ったままで手術を受けられる手法。一般的な脂肪吸引よりも迅速で手軽とされる。血管収縮を促して出血を抑制するために、麻酔薬、生理食塩水、アドレナリンを混ぜた溶液を注入するため、施術名に水や水分を意味する「ハイドロ」という接頭語が付けられている。 その後、超音波を使用して脂肪細胞に振動を与え、脂肪を分解するプロセスが行われるが、この溶液の過剰な使用は有毒化する危険性があるため、慎重な対応が必要と専門家らが警告している。 パロマさんは手術直後、回復室で呼吸困難を起こし、意識を失うなど体調が急変。クリニック側が緊急医療サービス(SAMU)を呼び、市立病院に緊急搬送された後、死亡が確認された。事件は不審死として登録され、遺体は法医学研究所(IML)に送られた。 夫エヴェルトンさんによれば、パロマさんはSNSを通じて手術を依頼し、施術の数時間前に初めて執刀医のジョジアス・カエターノ氏と直接面会し、手術の説明を受けた。その際、施術代1万レアルを医師名義の会社に振込んだ。 エヴェルトンさんは、「クリニック側がSAMUを呼ぶまでかなりの時間がかかっていて、妻の身に何が起こっているのか私に全く説明がなかった。その直後、クリニックは閉鎖され、医師は姿を消した。妻の夢を叶えるどころか、命を奪われるなんて想像もしていなかった。信じられない」と悲痛な思いを語った。 27日付CNNブラジル(4)によると、ジョジアス医師は医療過失を理由に少なくとも22件の訴訟を起こされており、被害者の中には施術後に大きな傷跡が残ったり、部分的な切除を余儀なくされた女性もいるという。被害者らは損害賠償を求めており、社会医学・犯罪学研究所(IMESC)で医療鑑定が行われる予定だという。 ジョジアス医師はサンパウロ市内の複数の医療施設で脂肪吸引やシリコンプロテーゼ手術などを行っていたが、いずれも十分な医療設備を持たない施設だったことが問題視されている。 医師の弁護士によれば、多くの被害者がサンパウロ州地域医療評議会(Cremesp)にも告発を行ったが、ほとんどの案件は却下されているという。Cremespは声明の中で、報道された事実に基づき調査を行っており、「調査は法律で定められた守秘義務のもとで行われている」と説明した。