竹内結子さんとの「約束」果たせず…後悔の念「事務所に門前払いされても、彼女とかかわるべきでした」「この映画を捧げたい」
「かけがえのない存在だった」
伊藤理佐氏原作の「おいハンサム!!」もそう。原作は漫画でクスリと笑えるハートウォーミングなコメディだが、山口氏によって爆笑を誘いつつ日々の生活や人生のための指針や教訓に満ちた内容になった。それでいて原作の持ち味、スピリットは一切崩されていない。 山口氏はこの映画をフジ「ランチの女王」(2002年)、同「不機嫌なジーン」(2005年)で組んだ竹内結子さんに捧げたいという。意外な気がするが、そこには深い後悔の念がある。 「ドラマのseason1で源太郎のこういうセリフを書きました。『どんなに身近な店でも、いつでも行けると思わないこと。どんなに大切な人でも、いつでも会えると思わないこと。結局、積極的にかかわろうとすることでしか、その関係は守れないんだ』」 山口氏は生前、竹内結子本人から「(次の役のオファーを)待ってますよ」と伝えられていた。しかし竹内はすでに堂々たる主演クラスで、そのポジションにふさわしい役や企画が固まるまでと、連絡を控えていた。 「小さい役やまだ思い付き段階の企画であっても、たとえそれが事務所に門前払いされても、もっと頻繁にやりとりし、彼女とかかわるべきでした。僕にとって竹内さんは大切な役者、かけがえのない存在だったのですから。ドラマ『おいハンサム!!』の源太郎のセリフはこう続きます。『だから……、あれこれ遠慮するな。あれこれ考えるな。電話をしろ。手紙を書け。会いに行け。あとで後悔しないように』。これが竹内さんを失った僕の強い思いなのです」 山口氏のドラマ、映画には例外なく本人の哲学が込められている。
やまぐち・まさとし フジテレビで「ナニワ金融道」(1996年)、「きらきらひかる」(1998年)、「カバチタレ!」「ロング・ラブレター~漂流教室~」、「ランチの女王」、「ビギナー」(2003年)、「不機嫌なジーン」などをプロデュース。独立後、企画・プロデュース・脚本・監督をすべて担当した作品として、ドラマ・映画「闇金ウシジマくん」シリーズ、TBSの蓮ドラ「新しい王様」シリーズ、同「闇金サイハラさん」(2022年)、ドラマ・映画「おいハンサム!!」シリーズなどがある。映画「おいハンサム!!」が全国東宝系劇場で21日公開。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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