シフィオンテクのドーピング問題を巡りロシアの名手カフェルニコフが不満!「永久追放にすべきだ!」<SMASH>
禁止薬物や方法によって競技能力を高めるドーピング。その裁定を巡ってテニス界が騒がしくなってきた。 23歳にしてテニス四大大会のタイトルを5個も有するイガ・シフィオンテク(ポーランド/現世界ランク2位)。そんな女子テニス界のトップスターに対し、テニスの不正監視団体「ITIA」は暫定的な出場停止処分を下した。理由は今年8月に実施された検査で禁止薬物のトリメタジジン(血管を広げて血流を良くする物質)が検出されたからである。 【画像】ドーピングを巡る疑問と処分の厳罰化を綴ったカフェルニコフ氏のX 最終的に陽性反応は彼女が時差ぼけ解消のため服用していた薬にトリメタジジンが混入したことが原因と判明。本人に重大な過失がなかっため出場停止処分は1カ月となり、シフィオンテク側はこれを受け入れた。処分は12月4日に解除される予定なので2025年シーズンの試合出場に影響はない。 この裁定に不満を持つのが元世界王者エフゲニー・カフェルニコフ氏(ロシア/50歳)だ。同氏は今回の事件が報じられるとSNSを通じて「テニス界に起きていることは恥ずべきこと」とコメントを発し、「禁止薬物の使用が発覚した者は、永久追放にすべきだ! 誰であろうと言い訳は許さず、容赦はゼロだ!」と言い切る。 カフェルニコフ氏はドーピングを巡る裁定が甘くなることで「ジュニア世代の若い選手たちが憧れの選手を見て将来ステロイドを使うのが普通だと思ってしまうだろう。現役の選手たちが若い世代に悪い見本を示している」と警鐘を鳴らす。 今回の裁定に不満を持つのは元女王シモナ・ハレップ(ルーマニア)も同じだ 2022年の検査で禁止薬物が検出されたことに加え、生体パスポートに関する違反も咎められ4年間の活動停止処分を受けたハレップ。最終的に重大な過失がなかったことが証明され今年3月から再びツアーへ復帰したが、シフィオンテクのケースと自身を比較して「なぜ待遇や判断がこんなに違うのか。論理的な答えは見つからないし、あるとも思えない」と憤る。 WTA(女子テニス協会)は11月28日、公式SNSを通じてITIAのシフィオンテクに対する決定を認めるとした上で以下のようなコメントを発信している。 「この不幸な事件は、薬物やサプリメントの使用をうまく乗り切るためにアスリートが直面する課題を浮き彫りにした。WTAはクリーンスポーツと競技のインテグリティを守る厳格なプロセスに対するサポートを堅持する。意図せず禁止薬物にさらされただけでも重大な結果を招く可能性があるため、アスリートは使用するすべての製品の安全性とコンプライアンスを確認するためにあらゆる予防措置を講じる必要がある。私たちはアスリートたちが十分な情報に基づいた決定を下し、スポーツにおける最高水準の誠実さを維持できるよう、教育とリソースを提供するために、アスリートたちと緊密に協力し続ける」とした。 なお、シフィオンテクの処分は比較的軽微なものにとどまったが、陽性反応が出たインディアンウェルズ大会の賞金とランキングポイントは没収。また、1カ月の出場停止処分により今秋のアジアツアーを欠場したことは世界1位の座を失う一因となっている。 構成●スマッシュ編集部