あと一歩で決勝進出を逃すも二冠を達成した千葉J、富樫勇樹に去来する悔しさと感謝「ここまで来れたのは全員の努力のおかげ」
「チームとしてしっかり結果を残せたことに胸を張って帰りたいです」
千葉ジェッツはチャンピオンシップ(CS)セミファイナルで琉球ゴールデンキングスと対戦。初戦を持ち味であるアップテンポなオフェンス爆発で圧勝したが、2戦目、3戦目とディフェンスを立て直した琉球に屈して連敗。東アジアスーパーリーグ(EASL)、天皇杯に続くタイトル獲得を惜しくも逃した。 千葉Jの絶対的エースである富樫勇樹は、セミファイナル3試合もオフェンスの要としていつも通りのハイパフォーマンスを披露。富樫を起点に攻めるため、足を削りにくる琉球の徹底した対策や様々な選手による密着マークを受けたが、その中でも傑出したスピード、シュート力で何度も見せ場を作った。 琉球の桶谷大ヘッドコーチは、シリーズ前から「どんなに厳しくいっても富樫君に20点を取られるのは仕方ない」と語っていたが、その評価が正しかったことを証明する活躍ぶりだった。特に第3戦は他の選手でズレを作れない中、積極的なアタックによってオフェンスを牽引した。 今シーズンの千葉Jは前年から複数の経験豊富なメンバーが去り、チームは一気に若返った。その影響もあり開幕当初はなかなか勝ち星が伸びなかったが、若手の成長に加え、シーズン途中に加入したオーストラリア代表ゼイビア・クックス、復帰となったクリストファー・スミスの存在によって徐々にチーム力を高めていった。その結果、3月にEASL、天皇杯を制覇すると、レギュラーシーズン終盤は故障者続出で苦しみながらも、ワイルドカード2位でCS出場を果たした。そしてクォーターファイナルでは、シーズン最高勝率の宇都宮ブレックスを撃破と見事な戦いぶりだった。 富樫は「天皇杯とEASL、2つのチャンピオンシップを獲れました。(セミファイナル)最後の2試合はフィジカル的にかなりやられてしまった感覚ですけど、まずここまで来られたことがすごく大きな成長だと思います。シーズンを通してチームとしてしっかり結果を残せたことに胸を張って帰りたいです」と語る。すべてを出し切るも、あと一歩で頂上決戦に進めなかった悔しさはあるが、シーズンを通しての進化に大きな手応えを得た1年となった。 そして、苦しい時期を乗り越えられたのは周囲のサポート、チームメートのハードワークがあってこそと、悔しさ以上に感謝を強調する。「今はシーズンが終わった直後で、悔しい気持ちの方が勝っている部分はあります。ただ、試合のコート内外での努力というところで、チームの中の人たちしから見られないことはたくさんあります。それを見てきた中でのこの結果で、残念な思いにプラスして、ここまで来られたのは全員の努力のおかげで、感謝したい気持ちの方が強いです」