【MLB】 フィリーズ対メッツの地区シリーズ展望 両軍共に上位打線が仕事できるかが鍵に
日本時間10月6日から、両リーグで地区シリーズがスタート。ナ・リーグの第2シード・フィリーズは、第6シード・メッツを迎え撃つ。最大5戦の地区シリーズを制すのは、世界一の本命にも挙げられるフィリーズか、劇的な形で駒を進めたメッツか。両軍の戦力、先発マッチアップなどをチェックしていこう。
◆先発予定・予想(メッツ対フィリーズ) 第1戦 千賀滉大(ブルペンデー) 対 ザック・ウィーラー 第2戦 ルイス・セベリーノ 対 クリストファー・サンチェス 移動日 第3戦 ショーン・マナエア 対 アーロン・ノラ 第4戦 ホセ・キンタナ 対 レンジャー・スアレス 移動日 第5戦 ブルペンデーorセベリーノ 対 ウィーラー ◆フィリーズシーズン成績(順位は30球団中) OPS.750(5位) 先発防御率3.81(8位) 救援防御率3.94(14位) ◆メッツシーズン成績(順位は30球団中) OPS.734(9位) 先発防御率3.91(12位) 救援防御率4.03(17位) このシリーズの鍵は「お互いの上位打線がいかに仕事を果たすか、そして相手の上位打線に仕事をさせないか」という部分にある。メッツとフィリーズの打線の構成は似ており、どちらも上位打線への依存度が高い。メッツの上位打線(フランシスコ・リンドーア、マーク・ビエントス、ブランドン・ニモ、ピート・アロンソ)は117本塁打を計上。ワイルドカードシリーズ第3戦ではアロンソ、プレーオフ進出を決めたシーズン161試合目のブレーブス戦ではリンドーアがそれぞれ決勝本塁打を放っているように、上位打線の長打力が躍進を支えてきた。フィリーズの上位打線(カイル・シュワーバー、トレイ・ターナー、ブライス・ハーパー、ニック・カステヤノス)がOPS.824を記録。シュワーバーやハーパーはプレーオフでの実績も折り紙付きだ。ここで、フィリーズ、メッツ互いの投手陣はいかにして相手の上位打線を抑えるべきなのか。 ウィーラー、ノラの2枚看板を擁するフィリーズの先発投手陣は強力だが、この2枚はメッツには相性が悪い。過去3年、メッツはウィーラーとノラが先発した15試合で12勝。ウィーラーの対メッツの防御率は4.79、ノラも4.25と、メッツに対しては普段の実力が発揮できていない。ただ、大きな成長を見せた3番手サンチェスは、今季対メッツ戦では防御率3.06・被本塁打1(3先発)と好投している。 また、フィリーズはブルペンが強力だ。抑えをカルロス・エステベスに任せることで、最も信頼が置けるジェフ・ホフマン、マット・ストラム、オリオン・カーケリングの重用な3枚を柔軟に起用することが可能になっている。長いイニングを投げられるノラ、ウィーラーを早々に見切る判断は難しいはずだ。しかし、相性の悪いメッツとの対戦ならば、その2人が不調のシナリオは十分に考えられる。フィリーズのブルペンには、必要なら早めの継投に移れるだけの手駒は揃っている。 一方、メッツにはウィーラーやノラのような絶対的な存在がいない。セベリーノ、マナエア、キンタナのベテラン3人は健闘している。ただ、それでもワイルドカードシリーズでブリュワーズに対して行ったように、彼らを相手打線の3巡目まで投げさせるのは、フィリーズ相手には非常にリスキーな選択となる。したがって、ブルペンの働きは重要度を増す。 レギュラーシーズン1登板の千賀を第1戦の先発に抜擢したのは、フィリーズの上位打線対策の意味合いが強いだろう。メッツは第1戦にタイラー・メギルを先発させるという予想が大半だった。しかし、短いイニングの起用が想定される千賀をあえて先発にしたのは、フィリーズの上位打線に対してなるべく同じ投手を当てたくないからだろう。メッツのブルペンには左投手が少ない。しかし、左打者に対して相性が良いフィル・メイトンやホセ・ブット、あるいは本来は先発のデイビッド・ピーターソンらを早いイニングから活用し、フィリーズの上位打線に当てる必要がある。 総合的に見れば、地力で勝るフィリーズ有利の感はやはり否めない。しかし、メッツには尋常ではない勢いがある。もし、メッツ打線がノラとウィーラーの2枚看板を打ち崩すことがあれば、シリーズの流れは一気に傾くはずだ。