「1人勤務」の養護教諭、プレッシャー禍で負担大 倍率7倍かつ経験者多数、潜在人材の活用は
少人数だからこそ自治体を超えた横のつながりが肝に
「発信活動を通じて、養護教諭同士の横のつながりの重要性をますます感じています。現在、養護教諭は全国で約4万人。100万人いる教諭の中に占める割合は少なく、文部科学省の『働き方改革事例集』をはじめ、養護教諭に関する取り組みや記載はごくわずかです。 予算も後回しで、『誰が私たちの働き方を考えてくれるのだろう』と悲しくなります。国や自治体のスピード感で間に合わないことを、情報共有やネットワークで補うことが私の役目だと思い、日々発信を続けています」 実は、養護教諭が守っているのは児童生徒だけではない。「子どもを見守る大人たちの健康が児童生徒の健康につながる」という思いのもと、教員向けの保健だよりを作成したり、教員のメンタルヘルスケアに取り組む養護教諭も少なくない。 教員養成課程で手薄になりがちな学校保健について、現職教育として校内に啓蒙するのも役目の1つだ。現在の日本の「衛生」を整えた要素の1つには、「学校での指導を主導してきた養護教諭の先輩方もいると思う」とにこさんは語る。 「子どもと関わる仕事には、やはり特別なやりがいがあります。目に見える売上や昇進などの成果はなくても、子どもの成長を見守ることは何より尊いです。私は、まだ自分を冷静に見られる時期に『攻めの休養』として退職を選びましたが、養護教諭の仕事には『いつかまた現場に戻りたい』と思えるほどの面白さと奥深さがあります。とはいえ、今働いている皆さんもまずは自分の心と体の健康が第一。全国の養護教諭を本当に応援しています」 (文:長尾康子、編集部 田堂友香子、注記のない写真:YsPhoto / PIXTA)
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