降圧剤やアレルギー、抗がん剤に要注意!専門医が警鐘を鳴らす緑内障の副作用がある薬【実名リスト90付き】
医師の指示を守ってない場合も考えられる
平松医師は薬の副作用で緑内障になる患者は医師の指示を順守していないケースがあると語る。 「基本的に処方する際には定期的に眼科を受診して眼圧をチェックするよう伝えます。眼科の場合ですらこれを守らない患者さんがいて、緑内障の症状がじわじわと進行してしまう可能性がある。皮膚科や花粉症の治療のために処方する耳鼻科などの場合、患者さんが緑内障は『関係ない』と考えてしまい、受診していないケースがさらに多いと思います。 医師の言いつけを守って眼科を受診していれば眼圧が上がった段階で適切に処置でき、薬を変えるなどして緑内障を未然に防げたはずです」 なかなか自覚症状がないゆえ眼科受診を怠ってしまうというわけだ。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障」(2009年)にはステロイドによる緑内障の症状として以下の記述があるので覚えておきたい。 <初発症状 初期には全く無症状で、あっても充血、虹輪視、羞明、霧視、軽い眼痛、頭痛程度であり、進行すると視野欠損、視力低下を来す>
抗コリンも要注意
ステロイドと並んで警戒が必要なのが、抗コリン作用を持つ「抗コリン薬」だ。PMDAの審査専門員を務めた経験を持つナビタスクリニック川崎院長で内科医の谷本哲也医師が言う。 「抗コリン薬は副交感神経に作用して、その活動を抑えて内臓の筋肉などの動きをリラックスさせたり緊張をほぐしたりします。リスト内の『過活動膀胱治療薬』は、活発な膀胱の活動を抗コリン作用で緩和する薬で男性によく処方されます」 抗コリン薬と分類されていなくても抗コリン作用を持つ薬があることにも注意したい。 「呼吸器疾患治療薬の『気管支収縮抑制薬』や『気管支拡張薬』、風邪に使う『総合感冒薬』のほか、『抗うつ薬』などにも抗コリン作用があり、緑内障のリスクがあります」(平松医師) 抗コリン薬が緑内障をもたらすのは、瞳孔が拡大する「散瞳(さんどう)」に関連すると考えられる。 「抗コリン作用でリラックスした瞳孔が散瞳すると、房水の出口である隅角が閉塞・狭窄して眼圧が上がり、視神経がダメージを負うと考えられます」(同前) 薬の副作用による緑内障は症状の進行がゆるやかなケースが多いとされるが、抗コリン作用を持つ薬の副作用のなかには「急性」の緑内障が含まれていることに注意が必要だ。 「急性緑内障は眼圧が急激に上がり、激しい頭痛や吐き気、目の充血・痛み・かすみなどの症状が出て、適切な処置を受けないと数日で失明する恐れがあります。 抗コリン作用を持つ薬は処方される機会が多い。もし服用してこれらの症状が出たら放置せず、早急に眼科を受診してください」(同前)