甲府から奈良・大和郡山へ440キロ「金魚旅」…伝来300年記念し市民らリレー、長野では「金魚すくい」
国内有数の金魚の産地、奈良県大和郡山市に金魚が伝わって今年で300年となることを記念し、姉妹都市の甲府市からの約440キロを市民らがリレーする「金魚旅」が、23日から12日間の日程で行われる。江戸時代に藩主の国替えに伴って甲府市からやってきた足跡をたどりながら、特産の金魚をPRする。 【地図】金魚旅のルート、特産金魚をPR
由来は1724年に遡る。甲府藩主の柳沢吉里は、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗から現在の大和郡山市を含む郡山藩に国替えを命じられ、金魚はこの「引っ越し」で持ち込まれたとされる。
柳沢家の援助で、藩士や農家の副業として養殖が盛んに行われるようになり、高度経済成長期の「金魚ブーム」で人気を集めた。2022年の販売数は約4300万匹で、全国一の金魚販売数を誇る奈良県の約9割を占める。毎年8月には「全国金魚すくい選手権大会」も開かれる。
金魚旅は、公募などで集まった市民ら約60人が、11区間(各約40キロ)を6人1組で2日ずつ歩く。19日には壮行会が開かれ、金魚の赤をイメージしたそろいの法被や笠(かさ)がお披露目された。
一行は23日に甲府市を出発。甲州街道や中山道を通って11月3日、国史跡・郡山城跡にゴールする。途中、長野県内の2か所の道の駅で金魚すくいイベントも開く。
参加者の一人で、金魚の知識を普及する大和郡山市の「金魚マイスター」に認定されている灰藤紅味子(はいとうくみこ)さん(73)は、亡くなった夫の勧めで金魚を飼い始め、今は小学校の出前授業などでも講演している。「夫のおかげでできた金魚とのつながりを大切に、多くの人に魅力を伝えたい。原点である甲府市についても現地を見てよく学びたい」と意気込む。