ルノー「R.S.アルティメットデイ」 タイムアタックにR.S.の歴史と記録の「生き字引」も登場
満身創痍の愛機、神様の底力
メディア全員がタイムアタックを終えたとき、タイムテーブルのトップにはやはり業界イチ速い橋本洋平氏がいた。1分15秒72というこのタイムは2番手よりも1秒以上速いスーパーラップである。これはメガーヌR.S.の神様、ロラン・ウルゴン氏でも難しいはず。 神様はイベント当日、気前よくオーナー車のメガーヌR.S.にサインをプレゼントし、終始にこやかだった。アタックで愛機に乗り込む際もコンビニにいくようなリラックスした雰囲気。 そして電光掲示板には1分16秒中盤のタイムが表示されたのだった。 神様は負けたのか? いや違うだろう。H氏は先頭打者としてクルマが冷えた状態で走ったのに対し、神様はほぼ最終打者。直前に前タイヤだけ新品にしたが、ブレーキもエンジンも、そして後輪だって芳しいわけがない。 橋本氏の走りは丁寧に鼻先を曲げてからスロットルを開ける定石通りのもの。対する神様はオーバースピード気味にコーナーに突っ込んでそれでもスロットルを踏み切ってねじ伏せる気迫溢れるものだった。走行後に聞いてみると「もうブレーキがなかった」とひとこと。 それであのタイムは強烈! 神様というかルノースポール、いやアルピーヌの底力凄いな! と素直にそう思った。 アルピーヌは現在、電動のスポーツカーを開発中であり、神様は「いい感触を得ている!」と自信満々の様子。内燃機か電動かはともかく優れたスポーツモデルは本物の開発陣によってのみ生まれるもの。フランスが誇る電動スポーツカーの登場が待ち遠しい。
吉田拓生(執筆) 上野太朗(執筆) 小川亮輔(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)