NBA復帰を渇望するジョン・ウォール「どんな役割でも受け入れる」
新時代を築くスーパースターや大物ルーキーたちに関心が向くなか、我々は1人のカリスマの存在を忘れかけているかもしれない。2010年のドラフト1位指名であり、5度のオールスター選出を誇るジョン・ウォールは、2022-23シーズンにロサンゼルス・クリッパーズでプレーして以来、NBAのコートに立っておらず、2023-24シーズンは無所属で1年間を終えた。 しかし、ウォールのバスケットボールに対する情熱や献身性は全く失われていないようだ。かつてのチームメートであるポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)のPodcast『Podcast P』に出演。ボーンズ・ハイランド(クリッパーズ)とワークアウトする様子が確認されたことについて、ホストのジョージが現在のコンディションを尋ねると、元ワシントン・ウィザーズのフランチャイズプレーヤーは以下のように切り出した。 「君も知っているとおり、僕はバスケットボールが大好きなんだ。いつもゲームを研究しているし、常にそれについて話している。スポンジのように吸収しているよ。女子の試合、高校の試合も含め、1日中試合を見ているし、自分の招待トーナメントも開催する。自分にとってバスケットボールがどれだけ重要であり、どれだけ試合が恋しいのかも理解している。君が紹介してくれたように僕はオールスターであり、球団の看板を背負う選手だった。そこに戻るのは大変な旅路だけど、最も重要なのは健康を保つことだと思っている」 また、各球団のロスター状況を俯瞰して、数多の経験を積んだウォールはまだ貢献できることがあると感じている様子。その一例として、マイアミ・ヒート一筋で現役生活を終えた永久欠番の選手を挙げた。 「多くのチームはベテランが少なく、若い選手を中心に構成されている。ロッカールームにはベテランが必要だと思うんだ。それがチームに足りていないところだと感じる。僕はどんな役割でも受け入れるつもりだよ。プレーするにしても、しないにしても、ユドニス・ハスレムのようにチームに貢献したいんだ。もう一度、NBAのユニフォームを着たい。チームのためにプレーすること、コーチやメンターとしてチームを助けることができるなら、それを受け入れるつもりでいる」 ウォールはまぎれもなく、ポイントガードの概念を変えた選手の1人である。ジョージはウォールをデリック・ローズ(メンフィス・グリズリーズ)やラッセル・ウェストブルック(クリッパーズ)と並んで“ポイントガードを再定義した選手”と賞賛しており、ウォールも時代を作った名ガードたちを並べた。 「大学時代のラッセルやローズを見て『こいつらは化け物だな』と思ったよ。彼らの存在は、ジョン・カリパリヘッドコーチ(現アーカンソー大学)のもとでプレーする理由のひとつだった。ポイントガードはほかのポジションを守らず、ポイントガード同士が対戦するんだ。ローズ、ロンゾ(ボール/シカゴ・ブルズ)、デロン・ウィリアムス(元ユタ・ジャズほか)、スティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)、CP(クリス・ポール/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ラッセルたちとの対戦は大変だった。6試合連続でそのようなマッチアップがあって『何だよ、この設定は』と思っていたね。プレーしていた頃、あまり認められることはなかったけど、同業者からの評価は僕にとって一番重要なこと。確かに、僕たちはゲームを変えたと思う。真のポイントガードとしての視点を持ちつつ、運動能力と得点力があり、チームをリードし、両サイドでディフェンスをこなせるガードだったはずだね」 ゴール下まで一直線に切り込むウォールの鋭いドライブを恋しく思っているファンは少なくないはず。今夏のフリーエージェント市場で契約を勝ち取り、新たなチームで居場所を見つけるべく、ウォールは今日も鍛錬と研究を続けている。 文=Meiji
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