「こんな役、僕にやらせます?…」薬物逮捕歴ある俳優に「依存症」役 再起描く映画『アディクトを待ちながら』
高知東生さん:1964年高知県出身。1993年に芸能界デビューし、映画やドラマ、バラエティに多数出演する。2016年、覚せい剤と大麻使用の容疑で逮捕。執行猶予判決を受ける。2019年から依存症問題の啓発活動を始め、翌年よりTwitterドラマ「ミセスロスト~インタベンショニストアヤメ」で俳優復帰。Youtube「たかりこチャンネル」で依存症の啓発番組を配信中。 ■”役を生きる”ことを学ぶ 映画監督のナカムラサヤカさんは、今思えば明らかに依存症の患者だった家族がいたと気づきました。そこで「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表と協力して、依存症を考える短い動画を制作したりしてきました。 監督・脚本ナカムラサヤカさん:助監督として数々の映画に参加。主に佐々部清監督に師事。『FASHIONSTORY-Model-』(2012年)で映画監督デビュー。五輪公式映画『東京2020オリンピックsideA/sideB』ではディレクターの一人として抜擢。また、Amazon『バチェラー・ジャパン』シリーズやABEMA『LOVECATCHERjapan』でクリエイティブチームに参画するなどドラマだけでなく恋リアやドキュメンタリーなど様々なジャンルの演出を手がける。 今回は、様々な依存症を持っている人がゴスペルを歌うサークル、という設定で演技のワークショップを開きました。それを撮影した実験的な映画なのです。 ナカムラサヤカ監督:リアリティのある芝居を学びたくてみんなが来てくれて、「”役を生きる”ってどういうことだろう?」というテーマでワークショップをしていたんです。だから、33人それぞれが、自分のバックボーンとか、どんなことがあったか、そしてこれからどうなりたいか、自分のお母さんはどんなだったかとか、そういうことを全部考えて、実はワークショップに挑んでいるんですね。 ナカムラサヤカ監督:「4日間の間に1本の短編を作ろう」というところから、この映画の企画がスタートしました。撮り終わったものを見て、「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表から、「この映画、とても素敵なので、ぜひもう少し長くして劇場で公開できないですかね?」と相談されたので、「それでは」と前半部分を後から書いて、1本の映画にまとめた作品です。 出演者がそれぞれの役のバックボーンを考えに考え、議論して、そういったものが体の中にある中で、この場面を撮る時に、言葉、表情が出てくる。「役を生きる」という言葉がありましたが、そういうワークショップの学びの場から生まれた映画です。