能登半島地震で集落孤立、ヘリコプターが着陸できず…半島の多い九州でもドローン活用など対策の見直し進む
半島は交通網が脆弱、災害で孤立しやすい特徴
半島は地理的に平地が少なく交通網が脆弱とされ、災害で孤立しやすい特徴がある。半島振興法で指定されている全国23の半島地域のうち、九州・山口には9地域が集中しており、対策を強化する動きが進む。
島原半島など四つの半島地域や多くの離島を抱える長崎県は、昨年11月に地域防災計画を改定してヘリコプターの離着陸に適した場所の把握に努めることなどを盛り込んだほか、孤立する可能性がある集落の調査を進めている。2013年の国の調査では378か所に上っており、県防災企画課の担当者は「捜索や救助、物資輸送には被災地に入って情報を得る必要がある。的確な初動をとれるようにしたい」と話す。
国東半島がある大分県も昨年改定した地域防災計画に孤立集落対策を盛り込んだ。特に強調したのがドローンによる物資輸送手段の確保だ。食料や水、生活必需品など救援物資の緊急輸送態勢の確保に努めるとした。
全国の自治体で初めて、ドローン関連企業などでつくる日本UAS産業振興協議会(東京)と災害時のドローンによる物資輸送協定を締結。25年度には国東半島地域で防災訓練に取り組むとしている。
愛媛大防災情報研究センターの二神透准教授(地域防災)は「集落は土砂災害だけではなく、津波や液状化、火災でも孤立する可能性がある。孤立してもしばらくは命をつなぐことができるよう、行政は集落の特性や実情を把握したうえで、住民と連携して課題を洗い出し、平時からの備えを進めるべきだ」と指摘する。