「脳がととのう」建仁寺の夜間拝観

【令和を変える！関西の発想力】 まだ残暑は厳しいですが、暦はもう秋。これからは、中秋の名月を愛でながら秋の夜長を楽しみたいものです。 そこで今回は、京都最古の禅寺「建仁寺」の夜間拝観をご紹介しましょう。しかも、ただの夜間拝観ではありません。「脳が〝ととのう〟納涼アートイベント　ZEN　NIGHT　WALK　KYOTO」とテクノロジックな名称で、22日まで、19時から21時30分の2時間半に限り、開催されています（14、17、18日は休み）。 ひと言でいえば「建仁寺の夜を光と音で彩る幻想的なイベント」ですが、この光と音が特別で、科学的見地から癒やしの効用が期待できるそう。具体的には、脳波のある帯域を増強・減退するためにデザインされた音楽「ニューロミュージック」と禅を融合させて、人々の精神と身体がリラックスするよう、つくられているのです。 その効果は絶大で、夜の2時間半の間に、連日800人を超える観光客が訪れています。特にインバウンドに人気で、私が取材した日も会場は外国人観光客であふれていました。 聞こえてくる言葉も英語や中国語、フランス語などさまざまですが、会場が幻想的な光と音や白いもやに包まれると、国境も人種も忘れて、雲の上へワープしたような錯覚を覚えます。 なかでも天井に巨大な双龍図が描かれた法堂の演出は圧巻。須弥壇上に安置された釈迦如来坐像を中心に、ニューロミュージックにあわせて色とりどりの光が舞い、天井の双龍図が神々しく浮き立ちます。その光景を見ていると時空を超えたような気分になって、会場にエアコンが設置されていないのに、ほとんど暑さを感じません。 ちなみに私が取材した日も、京都らしく蒸し暑い夜でしたが、その暑さを感じたのは会場を出てからのこと。しかもなんだか気持ちが清々しくて、周りの風景が鮮やかに見えました。これが「脳がととのった感覚」なのでしょう。 実はこのイベント、猛暑の京都を比較的涼しい夜に楽しめるよう企画されたもの。しかし「脳がととのう」効果は、残暑にバテた今の方が実感できるかもしれません。

夏バテ脳はもちろん、仕事や人間関係に疲れた脳も、「最近、なんだかやる気出ないなあ」とぼやいているあなたの脳にも、特別な光と音が沁み込んでリフレッシュさせてくれますよ。詳しくは「建仁寺　夜間拝観」で検索を。　（地域ブランド戦略家・殿村美樹）　＝隔週木曜日掲載