南米アルゼンチン東部の町イラリオ・アスカスビを今、あるカラフルな生き物が占領しつつある。 町の上空を飛び交うのは、数千羽のイワインコだ。 イワインコは電線をかじって停電を引き起こし、至る所に排泄物を落とし、絶え間なく鳴き声をあげ、住民は我慢を強いられている。 生物学者らは、周辺の丘陵地帯での森林伐採により、イワインコが町に降りていると指摘。イワインコは近年、秋から冬にかけ安全な場所を求めて、大西洋にほど近い、この町に集結。5000人が暮らす町で、時には人口の10倍もの個体がいることもあるという。 地元のラジオジャーナリスト　ラモン・アルバレスさん 「イワインコは日々、さまざまな代償や問題をもたらしている」 イワインコがかじって損傷した電線に、雨が浸水することもあるという。言うまでもなく、停電したらラジオは使えない、とアルバレスさんは話す。 住民らは鳥よけの音やレーザー光線など、さまざまな方法を試してきた。だが、何も効果がなかった。 アルゼンチン国立南部大学の生物学者ダイアナ・レラ氏は、同国の森林は長年にわたり、徐々に失われつつあると話す。 「ほとんどのイワインコが、丘陵地帯に生息している。これまで長年、この環境で食料を得てきたが、現在、丘陵は消滅しつつある。ブエノスアイレス州南部の森林は毎年4％失われていると推定される。食料を失い、より多くの個体が食料や安全な場所、水を求めて都市部に移動している」 レラ氏は、自然環境を早急に回復させるべきだと指摘。それまでは、人々が鳥たちと共存する方法を考えるべきだと語った。