米SEC、カンバーランドDRWを無登録で暗号資産取引を行ったとして提訴
SECの告発続く
米証券取引委員会(SEC)が、シカゴ拠点の暗号資産(仮想通貨)取引会社カンバーランドDRW(Cumberland DRW)に対し、有価証券として提供・販売された20億ドル(約3,000億円)以上の暗号資産を、無登録ディーラーとして取り扱ったとして10月10日提訴した。 SECがイリノイ州北部地区連邦地方裁判所に提出した訴状によれば、カンバーランドは2018年3月以降現在に至るまで、証券として提供・販売された暗号資産を自社の口座で売買し、無登録ディーラーとして活動していたという。 同社は「世界有数の流動性提供者」と謳い、電話やオンライン取引プラットフォーム「Marea」を通じて24時間365日体制で運営したとされている。 SECの訴状ではさらに、カンバーランドが通常の業務の一環として、投資契約として提供および販売されている暗号資産の取引を第三者の暗号資産取引所で行っていると主張している。 SECの暗号資産・サイバーユニット(CACU)暫定責任者であるホルヘ・G・テンレイロ(Jorge G. Tenreiro)氏は「業界が暗号資産の販売を全て商品販売に似ていると主張する中、カンバーランドと発行者、客観的な投資家は、暗号資産の提供と販売を証券への投資として扱っていた」と指摘した。 訴状ではポリゴン(POL)、ソラナ(SOL)、コスモス(ATOM)、アルゴランド(ALGO)、ファイルコイン(FIL)が証券として特定されている。 SECは、カンバーランドが1934年証券取引所法第15条項に違反したとして告発しており、恒久的な差止命令、不正利得の返還、判決前の利息、民事制裁金の支払いを求めている。 カンバーランドは10月11日のXにて、SECからの「とにかく登録してください」という強い呼びかけに応じ、2019年にディーラー・ブローカーとして登録したが、その登録はビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)にのみ適用されることが後に判明したと説明。 同社は他のトークンについて、「この点についてSECと5年間にわたり誠実な議論を重ねてきた」とし、膨大な資料作成や会社の要人やコンプライアンス担当の時間を割き長時間のインタビューにも応じたが、「 今日の訴状は、SECが問題となる具体的な取引を初めて明示した」と述べている。 カンバーランドは「このSECの行動により、事業運営や流動性を提供する資産に変更を加えることはない」とし、「当社は再び自らを守る準備ができている」と声明を結んでいる。 SECは先週も海外暗号資産(仮想通貨)取引所クリプトドットコム(Crypto.com)にウェルズ通知(Wells notice)」を送ったばかり。 「ウェルズ通知」とは、SECが企業・個人に対して、法的措置を講じる予定であることを通達する公式文書だ。 これに対しクリプトドットコムは10月8日、SECを相手に訴訟を起こし、同連邦機関が暗号資産業界を規制することは、管轄権を逸脱していると主張している。
あたらしい経済編集部