光より速い素粒子「タキオン」は“存在可能”かも
タキオンは数学的に矛盾しない?
これらの矛盾点に対して、ワルシャワ大学の研究チームはタキオンの観測時において初期状態と最終状態のどちらをも把握することによって解決すると論じています。 そのような場合においてならタキオンの仮説は数学的に矛盾しないそう…なのですが、残念ながら訳者にはサッパリ。さらに詳しく知りたい方は、どうぞこちらのプレスリリースと、もとの論文もご参照ください。
新たな種類の「量子もつれ」
今回の研究の成果は、もうひとつあったそうです。 タキオンの矛盾点について研究を進めていく上で想起されたのは、過去と未来をごちゃ混ぜにする類の量子もつれ。従来の量子理論においては存在しなかったものでした。 「過去が現在に影響するかわりに未来が現在に影響しうるというアイデア自体は、物理学においてなんら新しいものではありません」とワルシャワ大学の物理学者・Andrzej Dragan氏は説明しています。さらに、「このような見解は決して一般的ではなかったんですが、今回においては理論上この結論に至らざるを得ない状況となりました」と話しているのも興味深いですね。
因果律の崩壊
もしもタキオンが存在していて、タキオンに乗せて光よりも速く信号を送ることができたとしたら、未来から過去へ情報を伝えることもできてしまうことになります。 そうなると、「過去の原因によって現在の結果が生じている」という、わたしたちの世界においてこれまで当たり前だった因果律が崩壊してしまうことになります。 これまではアインシュタインの特殊相対性理論をベースにしてこの世界の「当たり前」が説明されてきました。もしもタキオンのように光よりも速く動く物体が存在したとしたら、この世界の当たり前はすべて考え直されなくてはならなくなります。 そう考えると、なんだかワクワクしますね。タイムトラベルも、時空ワープも、映画の世界の中だけだと思っていたことが現実に起こりうるかもしれないのですから。 Reference: Telescope Magazine, University of WarsawImage: Pixabay, Wikipedia
山田ちとら