銀行「無事、融資が通ります」…年収1,000万円超の43歳課長、“2億円”の物件で始めた〈不動産投資〉の悲惨な末路【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
悪徳業者の甘い言葉に乗せられて契約を結び、自己破産などといった取り返しがつかない状況に陥ってしまう人も少なくありません。本記事では、加藤さん(仮名/43歳)の事例から、不動産投資で失敗してしまう原因とその対策について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。※プライバシーに配慮し、人物や企業の名称はすべて仮名、実際の事例内容と変えている部分があります。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
大学時代の同級生に20年ぶりの再会
中小メーカーで働く加藤(仮名/43歳)は、営業としての実績が評価され、40歳で課長に昇格した。年収も若いころから目標にしていた1,000万円を超え、日々会社から与えられた目標を達成するため遅くまで残業する日々を過ごしていた。 担当として業務にあたっていたころは自分の目標を達成することのみに注力し、前倒しで目標を達成していたことから会社からはいわゆるエース級としての評価を受けていた。 ただし、この3年間は営業成績の芳しくない課員と客先への同行訪問やクレーム対応などの時間に終われ、自分の仕事ができるのは課員を帰宅させた夜間のみであった。 加藤には妻と2人の子供(小学生)がいるが、週末も接待ゴルフや疲れを癒すことに時間を充てており十分な家族サービスができていない、という反省があった。 社会に出てから我武者羅に仕事に取り組んできていたため、高校や大学時代の同級生とも疎遠になっている。中間管理職を迎える同年代の仲間が、(自分にはできていないが)家族や仕事にうまく向き合えているのかと、ふと頭をよぎった。 そんなことを考えた数日後のとある日。大学時代の友人である佐々木から電話がかかってきた。業務時間中とのこともあり数分の会話であったが、佐々木の勤務地も加藤の職場の近くであることがわかり、近いうちに飲みに行く約束をした。 加藤は、いつもより早めに仕事を切り上げ予約した店に向かった。個室に入ると大学のころからだいぶ印象の変わった佐々木がすでに到着していた。 身なりも小奇麗であり時計も高級そうである。 お互いの仕事のこと、家族のこと、大学時代の思い出話など、この20年を埋めていると、あっという間に時間が過ぎていった。