「もし渋谷に原爆が落ちたら」寄せられた賛否 〝原爆AR〟を制作した被爆3世が考えたこと
若者は無関心? 感じた「グラデーション」
中村さんは、講演活動などで中学・高校などに呼ばれることも多いそうです。 中村さんが話をするだけではなく、生徒たちに「ワークショップ」をしてもらうなど、自分たちで問題について考えられるような工夫をしているそうです。 中村さんは「若者の『政治的無関心』や『ニュース離れ』といわれますが、実際には二極化というか、グラデーションがあるなと感じます」と話します。 生徒たちと取り組むワークショップのひとつ「外交官になってみよう」は、各国の外交官になったつもりで、生徒同士で安全保障などに関する「国際会議」を行うというもの。 学校ごとに生徒の反応も様々だそうです。 「必要な情報をある程度レクチャーしてから始めるのですが、自分で見聞きしたニュースをもとに、オリジナルの要素も加えて議論をする積極的な生徒が多い学校がある一方、なかなか発言ができない生徒が多い学校もありました」 積極的でニュースや社会問題への感度が高い生徒が多い学校では、「先生にニュースに興味を持っている人が多い」と感じたという中村さん。 「生徒自身がどうというよりも、周囲の大人の影響が大きいのではないかとも考えています」
「タイムリミット」は5年
核廃絶や反戦というテーマを、いかに広く伝えるか。 取り組みを重ねてきた中村さんには「被爆者や戦争体験者などの『語り部』のいない集まりの方が、若年層の発言は増える」という経験があるそうです。 「戦争や核の惨禍を知る人の言葉は重いです。若者は言葉の重さに圧倒されて『何も知らない自分が間違ったことを言ってしまったらどうしよう』とすくんでしまう」と指摘します。 「若者同士でしかできない活動もある。原爆のARアプリも、被爆者の方と一緒に考えていたら、生まれてこなかった企画だと思います」 ただ、自由な議論や発想と、核や戦争の現実を知らないために出てくる極論や事実誤認などをどう線引きするかという問題もあると中村さんは語ります。 「今は、被爆者や戦争体験者に『これって、どう思われますか?』と直接意見を聞きながら試行錯誤できる最後の時間だと思います。長くとも、あと5年くらいで『これから』の基盤を固めないといけないと考えています」 ◇ 【イベント開催します!】 中村さんも登壇する、withnewsの10周年イベント「【withnews10周年記念】ウェブメディア激動の10年 令和の温故知新フェス!」を、10月19日にオンラインで開催します。参加無料。 3部構成で、中村さんが「RICE MEDIA」のトムさんと「社会課題の届け方」について語る第2部は、15時15分からの開催を予定しています。 トムさんたち出演者への質問も受け付けています。 【申し込み・詳細はこちら】https://withnews10th.peatix.com/