外食続きの中で、“フランスらしい”あれこれを味わった1週間【パリ在住・井筒麻三子さんのおうちごはん日記】
ほぼ毎日朝から晩まで、自炊生活をしている我が家。パリだけど、和風も中華も洋風もありの、普段ごはんの様子をご紹介します。 【画像】食べてみたい!パリの高級ホテル・リッツの1万円超え「ガレット・デ・ロワ」 ○月×日 朝食:なし 昼食:ベトナム料理屋さんで生春巻き&揚げ春巻きと、海鮮フォー(写真) 夕食:ご飯、お漬物、お味噌汁 先&今週は丸っと8日間、撮影に追われた週でした。そのため、お家ごはん日記のはずが、ほぼ全く家でご飯を作る暇がないという事態に……。 この日のお昼は、撮影の合間に13区(はチャイナタウンで有名)のベトナム料理屋さんで海鮮メインのフォーを。生&揚げの春巻きは、みんなでシェア。 フォーはたっぷりのハーブ類と一緒にサーブされ、具材もいろいろ入ってていて美味しい。初めて行くお店だったのですが、サービスも良く、当たりでよかった!
○月×日 朝食:なし 昼食:カフェでチーズバーガー(写真) 夕食:ホテルのレストランでスズキのメイン料理、カボチャのチーズケーキ 撮影の合間に、近所のカフェでランチ。お茶に行ったことはあったけれど、料理を食べたことはないお店だったので、カフェ飯の定番であるバーガーで様子を見ることに。 出てきたお皿には、ハンバーガーとフライだけでなく、グリーンサラダも。チーズバーガーはジューシィでなかなか悪くないし、なんといっても緑黄色野菜がちょこっととはいえ食べられたのが、私的にとても好感度大。これで18€はなかなか悪くないぞ。 この日は夕方まで撮影した後、パリから2時間ほどの郊外の田舎町へ行き、ホテルステイ。
○月×日 朝食:なし 昼食:ハイウェイカフェでアンドゥイエット&ポテト(写真) 夕食:鶏もも肉、油揚げ、クレソン入り温かい蕎麦 朝から田舎町での撮影を終えたあと、ハイウェイ沿いのトラックドライバー御用達カフェでランチ。セルフサービスの前菜+その日のメイン3種から一つ選ぶという男子っぽい(?)メニューになっており、私は大好きなアンドゥイエット一択で。 アンドゥイエットってご存知ですか? 豚の内臓肉(モツ)を詰めて作られたソーセージのことで、好き嫌いが分かれる一品ではありますが、私は大好き。新鮮な腸がないと作れないためなかなかお目にかかる機会がなく、メニューにあると必ず頼んでしまいます。 たまにモツの臭いが強いものもあるんですが、こちらのアンドゥイエットは本当に臭みがなくて絶品でした! 「モツはあんまり……」と言っていたコーディネイターさんも「美味しい!」と驚いていたほど。 そしてへとへとで帰った夜は、サクッとお蕎麦を食べてすぐ寝ました……。 農家の抗議デモに見る、フランス人の気概 たった一泊二日の田舎町撮影だったのですが、なんと両日農家の抗議デモに巻き込まれ、往復に通常の倍以上時間がかかってしまいました。 抗議デモは、燃料の高騰や増税、安い農作物の輸入、小売業者からの値下げ圧力などで、農家の人たちの生活が圧迫されていることによるもの。 実際、スーパーで売られている1本約1.50€の牛乳に対し、農家の人が得られる報酬は0.50€弱なんだそう。それでなくても昨今の物価高。農家の人たちが苦しい生活を強いられていることは明白だと思います。 スペインなどのフランスより物価の低い国からの輸入が増加すれば、市場価格はますます安くなってしまう。でも安全な食を考えたら、なるべく距離の近い場所で取れる、新鮮なものを安心して(価格的にも)食せるようであるべき。そのためには、ある程度の国の保護は不可欠だと思うのです。 自分たちだけで出掛けていたら、往復時間は倍どころでは済まなかったと思うのですが、チャーターしたタクシー運転手さんがプロ中のプロで、知恵とインターネットを駆使し、高速道路の混雑を回避してくれたので本当に助かりました。そしてトラクターの列に会った際は、”bon courage!”(頑張って!)とデモ隊に声をかけ、クラクションを鳴らす彼を見て「おお……」と。 声を上げ、戦い続ける農家の人々の姿勢も当然だと思うし、例え自分たちに少し不便があろうとも、それをきちんと応援できる国民性もすごい。こうしてデモを見るたび、フランス人の気概にはとても感心させられるのです。
井筒 麻三子