「比較」が子どもに悪影響? 全国アンケート1300件でわかった“子どもたちのホンネ” 親から比較されると学校の満足度も低く……
■親に誰かと比較される傾向が高いと学校満足度が低く……
今回のアンケートで、普段親があなたと誰かを比べることが「よくある」「ときどきある」と答えた子どもが、5割を超えていました。親が比較するような傾向にあるお子さんは、親を相談相手とあまり思っていない傾向のデータが出ていたんですね。 そして、比較されることがあるお子さんは悩みの数も多かったのですが、それを親に相談ができていないことの影響とも読み取ることができます。そういう意味でも、子どもが他人と比較されることの影響は大きいと言えます。 さらに、比較される傾向が高いと学校満足度も低い。また、学校に行きたくないという感じる度合いも高い。 これも、解釈が難しいところがありますが、家庭環境が悪くなると、学校生活でも悪い影響が出てしまっているのではないか。そう捉えることもできます。家庭だけに収まらず、学校の方にも、比較されることの影響があることが今回のアンケートから見えてきました。 ――――逆に、比較することが、子どもにとってプラスになる事はないのでしょうか? 比較をするということは、子ども自身も普段やっていることだと思います。 子ども自身が他者と比較する時に、学力や学習意欲に対して、いい影響もあれば悪い影響もあるという研究結果もあります。比較対象が身近であったり、自分でも到達できそうだったりする場合には、モチベーションが上がって学力も意欲も高まる。その一方でハードルが高い、かなり離れた相手と比較することによって、逆に学習力が下がるというものです。 今回の調査・研究では、自分自身ではなくて、親という外部から比較が持ち込まれているという点にも注意が必要かと思います。お父さんやお母さんは、周りをみて「もっと頑張ってほしい」と発破をかける意味で比較してしまうことがあるかもしれませんが、「外から持ち込まれる動機付け」に関しては、思い通りにはいかない、という研究結果や理論もあります。 比較することが、外から持ってきた動機なのか、子ども自身の内発的な動機なのか。お子さん自身が、「勉強したい」「こうなりたいから勉強したい」という思いとは違って、外から持ってくる動機付けは、なかなか自分の中に落とし込めない、いい影響に繋がっていない、という研究結果もあり、今回のケースでも子ども自身の動機を高める、勉強力を高めるというところまでには繋がってはいないとみられます。 ―――「親に比べられた時にどんな気持ちになったか」という質問には、約7割の子どもが「イヤだった」と答えていますよね。 そこからも比較することや比較の仕方にはケアが必要だと今回の結果や他の研究など含めても感じるところです。今回の調査で答えていたのは小学生が主でしたが、中学受験する子もいれば、高校受験、大学受験していく中で、基本的には どんどん他者と比較されざるを得ない状況に置かれていくわけですよね。その時にどう結果を捉えるか、どういうフィードバックを与えるべきか。親だけでなく、学校側や教育者がどういうフィードバックを与えるべきかという研究が今まさに進んでいるところです。 実証研究はなかなか日本のものがないのですが 1つ理論的に言われているのが、“自分ごと”として捉えられるステップが必要ということ。良い比較の仕方、良いフィードバックを与える時の1つの指標として、「自分ごとのように捉えられる」そうしたところがポイントかなと思います。 今回の分析結果から考えると、子どもとの会話の量を増やすことで、相談をしやすい関係性につながっているので、比較をする際の親子関係をちゃんと引き上げておけると、大人からのアドバイスも“自分ごと”に受け取ってもらい良い方向にいくのではないでしょうか。