金田喜稔がベトナム戦を斬る!「遠藤をアンカーにして守備が安定。中村はまるでロッベンだね」【アジア杯】
何よりも勝ち切ったことが大きかった
[アジア杯GS第1節]日本 4-2 ベトナム/1月14日/アルトゥマーマ・スタジアム 【PHOTO】日本代表のベトナム戦出場16選手&監督の採点・寸評。4発勝利も6人に5点台の厳しい評価。MOMは2G1Aの8番 1月14日に行なわれたアジアカップのグループステージ第1節で、日本はベトナムに4-2で勝利した。 アジアカップという大きな大会で優勝するために7試合を勝ち抜くというのは、やっぱり大変なことだと思ったよ。初戦の難しさもあるし、怪我人もいるなかで勝ち切れたのは、何よりも大きかった。 先制点を早い時間に取れたので、楽勝かなと見ていたけど、まさか前半のうちにセットプレー2本で逆転されるとはね。 1失点目は、もう1回やれと言ってできるゴールではない。あのヘディングの軌道は、ドーハでの悲劇の同点ゴール(93年)を思い出してしまったよ。2失点目は、ピッチの状況や鈴木がどう判断したかは分からないけど、確実にシュートを打たれない方向に弾きたかった。 ベトナムの最終ラインの作り方は、フラットスリーだったね。最終ラインを揃えてディフェンダー同士のギャップをなくして中央はやらせない。サイドも中盤がサポートして、数的優位を作っていた。ベトナムは守備の意識が非常に高かったし、結果的に負けてしまったけど、すごく自信になったと思う。 前半の日本で気になったのは、サイドの攻防で伊東と菅原が常に数的不利の状況で、相手に起点を作られていたこと。左サイドバックの伊藤が上がって谷口と板倉がスライドした時は、数的不利のなかで菅原が中央のカバーに入っていた。なおかつ攻撃もとなるのは、バランスが悪い。 後半は、守田を上げて遠藤をアンカーにしたことで、前線から押し込めるようになったね。守田と南野の2人が迷いなくプレスをかけられたから、遠藤も前から1対1でボールを奪うシーンが増えて、守備が安定した。
中村は本当に得点力が高い選手
攻撃に関しては、相手に5バックで守られているなかで、細谷も上田もボールを触りたいがゆえに下がって受けていた。気持ちは分かるけど、しっかり前でキープできなかったし、もっと両サイドの背後のスペースに走り込んで、起点を作る動きがあっても良かったんじゃないかな。 それでも初戦で上田が1点を取れたのは、非常に大きいね。今後、勝ち進んだ時、苦しい状況になっても活躍できるストライカーが出てきてほしいし、個人的には上田に期待している。 3点目を決めた中村は、本当に得点力が高い選手だね。左から切り込んで、シュートを打つと、いつも枠に入る。(アリエン・)ロッベンを見ている感じだよ。出ている試合では、ほとんど点を決めているし、凄いと思う。 あとは南野が非常に良い。シュートに持っていく力があるね。これは4年前から言っているけど、チームの中でファーストシュートと最初の得点を決めるのは南野という印象がある。少し時間がかかったけど、本来の力を取り戻している。ゴール前で余裕を持ってプレーできていて、コンディションの良さを感じさせた。 セットプレーでの得点率が低い日本としては、そこから点が取れたのも良かった。コーナーの流れから南野が決めた先制点だ。リスタートから点が取れないチームは、逆にリスタートから点を取られる。そういう意味では、セットプレーの2失点は引き締めの材料としてプラスに考えればいい。 アジアカップは決勝まで行くと1か月間、チームで一緒に行動する。そのなかでさらにコンビネーションを高めていって、その積み重ねが、この大会には必要になってくる。整理しながら、次も良いゲームを見せてほしい。 【著者プロフィール】 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。
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