Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はなぜ世界で聴かれるようになった?
世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”の2024年 年間チャートで、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(以下「BBBB」)が首位を獲得しました。 その他の画像 TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のオープニング・テーマに起用された本楽曲は、オープニング映像のシュールなダンスがショート動画プラットフォームでバズを生み、年間を通して国内外のチャートを駆け抜けました。「BBBB」がどのようにグローバルで聴かれるようになったのか、ルミネイトのプラットフォーム「CONNECT」を使って国・地域別のストリーミング数を調べてみました。 まず、リリース初週~2週目までのデイリー地域別推移(※日本を除く)を見てみると、リリース初週は北米、ヨーロッパ、中南米がストリーミング数を牽引し、2週目からアジアが台頭してきたことがわかります()。TikTokで「BBBB」の音源を使用した動画を調べてみると、初週~2週目にかけては国外のアニメファンアカウントによる動画が多くを占めていました。初週はオープニング映像そのものやMAD動画が注目を集め、2週目から本格的にダンスカバー動画が急増。3週目以降はハウツー動画などアニメに関連しない動画も増えていきました。 さらに詳しく調べるため、日本を含むストリーミング上位20か国のリリースから2週間のシェア推移を抽出しました()。グラフを見てみると、リリース初週後半~2週目は日本よりも日本以外のシェアが大きく、2週目の最終日に日本のシェアが再び過半数を超えたことが見て取れます。日本以外の国のシェアを牽引していたのはアメリカ、メキシコで、ヨーロッパはドイツとフランスでリリース初日から注目を集めていたことがわかります。また日本のシェア拡大と連動するように、アジア各国のシェアが伸びていったことも特徴的です。これらのことから、北米、ヨーロッパ、中南米のアニメファンダム発のトレンドが、ショート動画プラットフォームを介して日本を含むアジアに波及し、結果、楽曲が世界各国に広がっていったことが推測できます。 なおマンスリー推移を見てみると、ストリーミング数のピークが3月に来ていることがわかります()。3月には、ミュージック・ビデオの公開と「THE FIRST TAKE」出演が重なり、各地域でビデオのストリーミング数が伸びました。2月と比べて数字を大きく伸ばしたのが中東とアフリカで、それぞれ前月比134%、140%を記録しました。また「BBBB」と同じアニメ系タイアップ&ジャージークラブを用いた「オトノケ」がリリースされた10月には、北米・オセアニア・ヨーロッパで前月比130%以上のストリーミング数を記録しました。 これまでのJ-POPのグローバルヒットはアジア発が多かったところ、「BBBB」は、アジア以外の地域で最初にスパイクが起き、これまでのヒットソングとは異なる道を辿りながら、グローバルにリスナーを増やしていきました。音楽性、タイアップ先のアニメ、ダンスのキャッチーさなど、何がトリガーとなったかはそれぞれの地域の特性によって異なると考えられます。ビルボードジャパンでは、今後もJ-POPのグローバルでの可能性について、調査と発信を続けていきます。 ※本記事は、ビルボードジャパンとルミネイトのメールマガジンにて配信された内容を加筆・修正したものです。グローバルで音楽データを分析できるツール「CONNECT」の詳細およびメールマガジンの登録は下記ページをご確認ください。
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