齋藤飛鳥、一人の表現者として高まる存在感 卓越したダンス、音楽や芸術愛により広がる活躍
齋藤飛鳥、Vaundy「風神」のMVでポテンシャルを全解放
齋藤は俳優としての経験も着々と積み重ねていて、ドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)、ドラマ『マイホームヒーロー』(MBS/TBS)および『映画 マイホームヒーロー』、現在放送中の金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)などに出演しており、『ライオンの隠れ家』主題歌であるVaundy「風神」のMVでは主演を果たしている。今作はVaundyが自ら監督を務めたもので、齋藤は、ダンス(今回もSeishiroが振付を担当)に加えて、物語の主人公、歌詞に登場する“脳”と“心臓”、そして“風神”の4役を演じ分けている。ダンス、演技、その一つの集大成のようなMVで、齋藤の表現者としてのポテンシャルが存分に発揮された作品となっている。 「風神」は〈誰かを想う〉こと、つまり、人と人のコミュニケーションについての歌であることを思えば、〈ぬくい痛み〉という言葉に込められたアンビバレントなニュアンスを、齋藤がダンスや演技を通して多角的に表現していることがよくわかる。振り返ると、齋藤は乃木坂46在籍時代から、決して天真爛漫、元気溌剌なキャラクターではなく、言葉数も多くはない、どちらかと言えば、常にクール、かつ的確に状況を俯瞰するタイプである(そうしたキャラクターは『ハマスカ放送部』でも活かされていて、自然体な佇まい、素直で正直な発言は、ゲスト出演する多くのミュージシャンから信頼を集める理由になっている)が、その一方で、特に後輩が増えてからは、メンバーのことを常に気にかけ、大切に想い続けていた人である。『乃木坂工事中』(テレビ東京系)における齋藤の卒業企画で、齋藤が一人ひとりのメンバーに手紙を書いた際、そのコメントの的確さに多くのメンバーが驚いていたことが象徴的なように、齋藤は誰よりも自分以外の〈誰かを想う〉ことを大切にし続けてきた。だからこそ、今回の作品において、Vaundyの期待に応え、「風神」のメッセージを伝える役割を担うことができたのではないかと想像する。 なお、齋藤はVaundyとのコラボレーションを振り返って、「たくさんの人を魅了するには、これだけのパワーと説得力が必要なんだな、と納得する時間でした」「この人がつくる世界観には必ず理由があって、突拍子もなく見えても必ず説明がつくのは、ものをつくる人間として信頼されているんだろう、と感じます」とコメントしており(※2)、この経験が今後の活動へどのようなフィードバックを与えていくのかについても注目していきたい。 今回は、星野源、VaundyのMVを一例としてピックアップしたが、齋藤の表現者としてのポテンシャルが輝く作品や活動はこれからもさらに増えていくだろう。冒頭で触れたドラマ・映画『【推しの子】』で齋藤が演じる星野アイは、乃木坂46として数々の大舞台に立ち続けてきた彼女が表現するからこそ、深い説得力、実写化ならではの輝きが宿り得る役であり、齋藤の魅力が炸裂する作品になることは間違いないはずだ。一人の表現者として、その存在感を高めていく彼女の活躍から、引き続き目が離せない。 ※1:https://www.instagram.com/p/CxxrleUSs4t/ ※2:https://vaundy.jp/news/detail/10667
松本侃士