「0-34」の屈辱を教訓に…宮城教育大硬式野球部は“強み”を生かし、前進する
中高時代はバレーボール部でプレーしていた眞山は、元々野球好きだったこともあり、大学では硬式野球部で選手をサポートする立場に回った。テレビでプロ野球を観戦する際に「自分のチームだったらどう打順を組むか」想像するほど、常に野球やチームのことを考えている。ただ昨年は連敗が続く中、「同じ悔しい気持ちを持っているのに、プレーヤーに対して何もできていない」ともどかしさを感じていた。裏方の役目を果たすのは想像以上に難しかった。 しかし、「勝てるチームにしたい」との思いは誰にも劣らない。新チームになってからはマネージャーの業務をこなすだけでなく、「プレーヤーとマネージャーの境目をなくす」ための行動を心がけている。選手間の会話に積極的に加わろうとするのはその一環。例えばミーティング中に意見がぶつかり停滞した雰囲気が漂うと、「みんなより野球に詳しくない私にも分かるように説明して。私が分かれば、みんなも分かると思う」と伝える。眞山がいることでチーム運営が円滑に進んでおり、今や欠かせない存在となっている。
元プロ監督とOBのつながりが活動を支える
4人に「宮城教育大の強み」を尋ねると、共通して「人数が少ない分、コミュニケーションを密に取れる。学年の垣根もなく、先輩、後輩関係なく互いに意見を言い合える」との答えが返ってきた。 宮城教育大はグラウンドを硬式野球部、軟式野球部、男子ソフトボール部、女子ソフトボール部の4部で共有しており、使用できる曜日や時間帯は限られている。ピッチングマシンなどの機材もそろっておらず、恵まれた練習環境とは言えないのが現状だ。それでも、授業の合間に数人で集まって練習するほか、グラウンド外でも連絡を取って練習メニューを考案し合うなどして補っている。
また、高橋顕法監督やOBの存在も大きい。高橋監督は広島と阪神でプレーした元プロ野球投手で、2012年の就任以降、限られた時間の中で適確な指導を行っている。加えて、宮城県内各地の学校に高橋監督の教え子で宮城教育大OBの教員が多数いることも、教員養成の国立大ならではの利点だ。OBとのつながりがあることで、高校との練習試合を設定したり、雪でグラウンドが使えなくなる冬場などに中学校や高校のグラウンドを借りたりすることが可能になっているという。 屈辱の1年を乗り越え、浮上することはできるか--。強みを最大限に生かし、まずは全員で久々の1勝をつかみにいく。
(取材・文・写真 川浪康太郎)