「つらいこと吹き飛んだ」 能登の被災者を無料招待 北國花火2024復興支援大会in金沢
●力強い輝き、明日を照らす光に 被災地の復興を願う花火が県都の夜空に広がった。27日、犀川緑地で行われた「北國花火2024復興支援大会in金沢」(北國新聞社主催)では、能登の被災者が会場に無料招待され、日常を離れて光と音楽の共演を満喫した。「つらいことが吹き飛んだ」「前を向いて頑張りたい」。力強い一瞬の輝きは明日を照らす光となって、被災者の胸に刻まれた。 招待席は金沢市大豆田(まめだ)本町(ほんまち)の犀川緑地周辺に設けられ、打ち上げが始まる前から家族連れが続々と訪れた。 子ども4人を連れて夫婦で訪れた奥井剛司さん(39)=七尾市西三階町=は「地元の祭りや花火大会が中止となったので、子どもたちに見せてあげたかった」と夜空を彩る光のショーに家族で見入った。 特別企画「音楽と花火の共演」では、輪島で炊き出しにも参加したMISIAさんの「アイノカタチ」に合わせて1900発が届けられた。牧場を営む大沢陽子さん(48)=内灘町湖西=は「曲と相まってジーンと来た。地震の時はお先真っ暗で、この先もどうなるか分からんけど少し前向きになれた」と語った。 打ち上げる側も特別な思いで大会に臨んだ。 北陸火工(かほく市)の花火師大井奈津子さん(33)は、元日に能登町の親戚宅で揺れを経験した。寸断された道路、崩れた墓石。被災地の光景が悲しかったと振り返り、「被災した人が明るい気持ちになり、それが周りに広がってほしい」と願った。 フィナーレでは、1千発の乱れ打ち「おとこ川市民花火」に続き、ドリームズ・カム・トゥルーの「何度でも」に合わせ、3861発が次々と夜空を染めた。 「涙が出そうになった。『何度でも』というフレーズに勇気をもらった」。夫の実家がある志賀町で被災し、一時は孤立も経験した青木克恵さん(62)=七尾市古府町=は笑みを浮かべた。 珠洲市蛸島町から金沢市内に避難している北濱美恵子さん(67)は今月、大規模半壊となった珠洲の自宅を解体したという。「今まで見た花火大会で一番感動した。どうか能登のことを思い続けてほしい」と話した。 能登半島地震で犠牲になった人への鎮魂と被災地復興の願いを込めた特製花火「白菊」も打ち上げられた。