米LA大火災、焼失した住宅の多くが「無保険」か 近年の山火事頻発で多数の保険会社がすでに撤退
今月7日に米ロサンゼルスで発生した山火事は、過去最悪の被害をもたらしており、保険会社は経営への打撃に備えている。 米金融大手JPモルガンは9日、この山火事による保険損失額が200億ドル(約3兆円)に達する可能性があるとの試算を示した。当初の試算から2倍に引き上げた。 格付け会社ムーディーズも、損失額は数十億ドルに上ると見積もっている。パシフィックパリセーズやマリブなどの高級住宅地が被害を受けたことで、損失額が膨らんでいると同社は指摘する。 だが専門家は、焼失した多くの物件が無保険だった可能性を指摘する。多くの保険会社が市場からすでに撤退しており、災害の多い州では保険に入ることがますます困難になっている。 カリフォルニア州では最近まで、当局が保険料の上限を設定していた。保険料の高騰に歯止めをかける一方で、利益が出ないとして多くの保険会社が同州から撤退した。今回の山火事で保険料はさらに高騰し、引き受けを拒否する保険会社も増えるなど、問題に拍車がかかりそうだ。 専門家は、今回被害の大きかったパシフィックパリセーズのような地域は、今後も火災の危険性が高く、手頃な保険を提供するのは難しいだろうと指摘する。 歴史が示す教訓もある。ルイジアナ州やフロリダ州といったハリケーン多発地帯では、近年の災害を受けて、保険料が2倍以上に急騰した。 世界最大の再保険会社であるドイツのミュンヘン再保険は9日、2024年の自然災害による保険会社の損失が過去最高額に匹敵する1400億ドルに達したと発表した。同社は、気候変動が主な要因であると指摘している。 そして2025年はすでに悲惨なスタートを切っている。 *見出しを修正して再送します。