あふれる情熱とこだわりも楽しい、東京カフェの最前線
産地に赴いて仕入れるコーヒー豆や茶葉に、ドリンクとの相性を考え構築されたスイーツまで。味はもちろんつくり手のこだわりが感じられる、東京の新しいカフェに出かけよう。 【写真】東京カフェの最前線 記事の画像をすべて見る
スペシャルティコーヒーとティーの新潮流
【中目黒】 チャバ
爽やかな朝のスタートに、ヒマラヤの風を感じるティーを 東京のモダンネパール料理ブームの先駆者であるレストラン、アディ。シェフのアディカリ・カンチャンが母国ネパールのヒマラヤ山脈の麓で出合った茶葉に感激してティーのブランドを立ち上げたのは、アディ開業の3年前、2017年にまで遡る。「周囲の山々から、風で植生の栄養分が運ばれてきて堆積した豊かな土壌。ここのお茶を飲めば、ヒマラヤの大自然の清々しい香りまでもが感じられるんです」と、そのテロワールをじっくり楽しんでほしいという願いから、22年3月にオープンしたのがティースタンド、チャバ。いちばんの人気メニューは茶葉とスパイス、牛乳をじっくりと寸胴鍋で煮出しては漉すを繰り返して完成させる「マサラチャイ」だ。これにオーガニックコーヒーを加えた「チャイプレッソ」も、朝のスタートの一杯として評判だ。
【経堂】 ロー シュガー ロースト
農園ごとに異なるテロワールを、精緻な焙煎によって引き出す 英国や豪州で焙煎、コーヒー店のコンサルティングの経験を積んだ小田政志と、ポール・バセットでバリスタを務め、神保町グリッチコーヒー&ロースターズの開業に携わった小坂田祐哉。ふたりは2021年にロー シュガー ローストを創業し、羽田空港近くで焙煎所を開設、翌年に経堂へ移転してこのカフェを開業した。産地訪問とカッピングを重ねて厳選したスペシャルティコーヒーは、アフリカ、南米産が中心。農園単位でポテンシャルの高い豆を仕入れ、風味特性を引き出すべく、すべて浅煎りで提供。また「豆の精製方法で風味が異なることを知ってほしい」(小坂田)と、発酵の作用を積極的に利用するアナエロビックファーメンテーションの工程を経た、独特な甘味やフレーバーをもつ豆も多数ラインアップ。熱心なコーヒー党からも支持を受ける。