若者は、どうして自信を無くしてしまうのか 新米のら猫コンサルが見た自動車ディーラー「若者のリアル」(3)
今日の商談も即決できなかった…。周りのスタッフが月初から即決商談しているのを見て焦る私。自分なりには一生懸命やっているつもりでいるけど、思うように結果が出せない。考えないようにしているけど、時にどうしても頭によぎってしまう。「この仕事は私に向いていない」「セールスパーソンとしての役割を果たせていない」と。 お客さまと話をするのは好きだし、セールスという仕事に誇りは持っているものの、さてどうしたものか…。 若者の研修を担当していると、このような相談を受けることは結構多いです。抱えている悩みは人それぞれなので特定的に助言をすることはできませんが、自分の欠点だと思える部分は、時として思いがけない成果をもたらすことがあります。
視点を変えれば
自分の欠点を責め、自信を失いかけているセールスパーソンに届けたい話が、インドの寓話「ひび割れツボ」です。 天秤棒に2つの壺をつけ、毎日水汲みに行く人。片方の壺にはひびがあり、家に着く頃に水は半分しか残りません。 ひび割れた壷は、水汲みをする主人につぶやきます。「いつも役割を半分しか果たせず申し分けございません」と。すると主人はひび割れた壷に「帰り道を見てごらん」と優しく伝えると、いつもの帰り道には片側だけ綺麗な花が咲いています。 「君が水をこぼしているのに気付いて、花の種を蒔いておいたんだ。君があるがままにいてくれなかったら、毎日花を見て楽しむことはできなかったよ」。
個性を生かす
かつて私の部下だったあるセールスパーソンは気が弱く、即決商談が少ないため、月初の販売台数で遅れをとっていました。ただ、彼女はお客さまに寄り添う気持ちが誰よりも強く、いつの間にか商談客の再来店率が拠点トップになりました。 どんな人でもこのひび割れた壷のように、一つや二つ欠点があります。完全無欠の人など存在しないのです。ただ、人と比べて劣っている部分を見つけたとしても、やるべきことは欠点を責めることでも恥じることでもないのです。それをどう生かすかではないでしょうか。 文:株式会社プログレス 江原忠宏 〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、2020年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、41歳。